全国城郭研究者セミナー

全国城郭研究者セミナーについて

全国城郭研究者セミナーは、城郭研究に携わる人々が一堂に会し、研究発表や討論を行うことを目的とした、年に一度開催される学術的な会合です。このセミナーは、全国の研究者が集まり、それぞれの専門分野の知見を共有することで、城郭研究のさらなる深化を目指しています。1984年の第1回開催以来、毎年継続されており、日本の城郭研究において重要な役割を果たしています。

セミナーの概要

このセミナーは、全国的な視野で城郭を検討することを目的としています。毎年8月の第1土曜日と日曜日に開催されるのが基本で、2019年には第36回、2021年には初めてオンラインでの開催となった第37回が実施されました。参加者は毎回200名を超え、城郭研究に対する関心の高さがうかがえます。

セミナーは2日間にわたって開催され、初日は「一般報告」として、参加者による様々な研究発表が行われます。2日目は「シンポジウム」として、特定のテーマに焦点を当てた発表と討論が行われます。最終日の午後にはパネルディスカッションが設けられることが多く、参加者全体で議論を深める機会となっています。また、3日目には、開催地周辺の城郭を見学するオプションツアーが企画されることもあります。セミナー1日目の夜には、参加者間の交流を深めるための懇親会も開催されます。

セミナーの主催と運営は、各回の実行委員会と中世城郭研究会が共同で行っています。開催地によっては、地元の教育委員会や城郭研究会が共催者として加わることもあります。

セミナーの設立と理念

全国城郭研究者セミナーは、中世城郭研究会の代表である八巻孝夫氏によって企画されました。八巻氏は、1981年頃に全国の城郭研究者が集まり、研究成果を共有する場として、このセミナーを構想しました。第1回セミナーは1984年に開催され、八巻氏自身が開会の挨拶でセミナーの趣旨を説明しました。

八巻氏が提唱したセミナーの理念は、2003年の第20回セミナーで正式に発表されました。その理念は、以下の12項目から構成されています。

1. 城郭研究の最新成果が得られる場とする。
2. 発表者は、考古学、文献史学、縄張研究の専門家から選ぶ。
3. 地方開催でも、テーマは全国的なものとする。
4. 発表者は全国からバランスよく選ぶ。
5. 記念講演は行わない。
6. 少数精鋭での運営とする。
7. 地方の研究者に光を当てる。
8. 手作りの会とし、中世城郭研究会はボランティアに徹する。
9. 報告者には交通費と宿泊費を自己負担とする。
10. なるべく同じ場所に宿泊し、夜を徹して語り合う。
11. 互いに批判しあい、研究の一歩前進を目指す。
12. 日程は可能な限り8月の第1土曜日と日曜日に固定する。

これらの理念は、セミナーの基本的な方針として、現在も引き継がれています。

セミナー名称について

セミナーの名称「全国城郭研究者セミナー」には、深い意味が込められています。「全国」という言葉は、日本全国の城郭研究者と全ての城郭を対象とすることを意味します。「城郭」には特定の時代を限定せず、全ての時代の城郭を対象とする意図が込められています。「研究者」という言葉には、個々の研究者を尊重し、その成果を大切にするという思いが込められています。

研究成果の発信

セミナーでの研究発表は、当日に配布されるレジュメ（予稿集）にまとめられるだけでなく、翌年に発行される『中世城郭研究』にも要旨が掲載されます。これにより、セミナーでの研究成果が広く共有され、城郭研究の発展に貢献しています。

レジュメ

『全国城郭研究者セミナーレジュメ』は、第1回セミナーが開催された1984年から毎年発行されています。レジュメには、各テーマにおける最新の研究状況がまとめられており、城郭研究者にとって貴重な情報源となっています。

『中世 城郭研究』

第6回以降のセミナーの研究発表は、翌年に発行される『中世城郭研究』に掲載されています。特に、第6回、第7回、第9回のセミナーについては、それぞれの内容が『中世城郭研究』の第4号、第5号、第7号に4ページにわたって概要が報告されています。第10回セミナー以降は、各発表の要旨とシンポジウムの概要が掲載されるようになり、現在に至るまで同様の記録が継続されています。

セミナーの歴史

全国城郭研究者セミナーは、1984年から毎年開催されています。第13回からは、東京都内と他の地域都市とで交互に開催されるようになり、第19回と第20回のみ、連続して都内で開催されました。2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響で開催が見送られましたが、第37回（2021年）と第38回（2022年）はビデオ会議形式で開催されました。

新聞記事掲載について

全国城郭研究者セミナーは、新聞記事でも度々紹介されています。

1985年の読売新聞では、第2回セミナーの様子が報道されました。
1993年の読売新聞愛知版では、松平城の調査に関する研究発表と見学会の様子が報道されました。
1993年の朝日新聞愛知版では、豊田市で開催されたセミナーの様子と、小牧・長久手の合戦に関する研究発表が報道されました。
1997年の岩手日報では、盛岡市で開催されたセミナーの様子が報道されました。

これらの記事は、全国城郭研究者セミナーの活動が、広く社会に認知されていることを示しています。

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