全宇

全宇の生涯と軍歴

全宇（チョン・ウ、전우）は中国人民解放軍や朝鮮人民軍で活躍した著名な軍人です。彼は延安派に所属し、中国名を陶克夫として知られています。彼の波乱万丈の生涯は、1914年に朝鮮の咸鏡北道穏城で始まりました。彼の学問への情熱は琿春での勉強によって磨かれましたが、1934年に抗日活動に身を投じ、安保と独立を求める運動に参加します。

1936年には周保中の推薦を受け、東方勤労者共産大学に留学。ここでの学びは彼の軍事指導者としての資質を形成する土台となりました。1940年に抗日軍政大学の東北幹部訓練組に入学した後、八路軍の部隊で参謀としての役割を果たし、やがて抗日軍政大学の区隊長に就任します。全宇は1944年10月に朝鮮革命軍政学校第3区隊の責任者に任命され、多くの軍事訓練と作戦に関与しました。

1945年11月、全宇は朝鮮義勇軍第5支隊の政治部主任と参謀長という二つの重要な役職を務めました。1946年1月には第5支隊が延辺警備第1団と合併し、吉東保安軍第15団に改編されると、全宇は第15団の政治委員に選ばれます。その後もさまざまな重要な職責を歴任し、1947年2月には延辺軍分区副司令員、同年10月には吉東軍分区副司令員として軍の指揮系統内での影響力を高めていきました。

1948年1月に独立第6師が編成されると、全宇はその副師長として軍の運営に関与し、同年11月には独立第6師が第156師に改編されます。1950年に入ると、朝鮮戦争の勃発に備えるために、中南軍区の独立第15師が組織され、全宇はその師長に任命されました。

朝鮮戦争が勃発すると、全宇は第15師を率いて北朝鮮に入り、4月には第15師が第7師団に改編され、再び師団長として指揮を執ります。しかし、戦争は計画通りには進まず、6月には洪川方面への侵攻を試みるも、不調をきたし、全宇はその結果更迭され、後任には崔春国少将が就任。これ以降も全宇は後方司令部参謀長や第7軍団第37師団長（1951年）、第6軍団副軍団長など、多くの職務を歴任し、1956年には第5軍団長に就任。

さらに、全宇は総参謀部作戦局長や次長、副総参謀長としても活躍し、偵察局長も兼任。彼はその評価を受けて上将へと昇進しました。その軍歴において、数々の重要な役割を果たした全宇ですが、1959年4月30日には謎の行方不明となり、その後の消息はわからなくなりました。彼の人生は、戦争と共にある運命を辿りながら、朝鮮の歴史に刻まれた重要な人物となりました。

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