延安派

延安派の概要

延安派（えんあんは）は、第二次世界大戦後の朝鮮半島北部に存在した共産主義者の政治的派閥であり、特に朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の成立に深く関わりました。1940年代に中国共産党の指導の下、朝鮮独立同盟や朝鮮義勇軍から構成されるこのグループは、当初は期待される存在でしたが、1950年代半ばには内部の政権闘争により、金日成の満州派に敗北し、粛清の運命を辿りました。本項では、延安派の前史やその政治的背景を詳述し、その影響がどのように展開されたのかを探ります。

前史：朝鮮人の社会主義運動

19世紀末から満州（中国東北地方）には多くの朝鮮人が移住し、その中には反日運動を展開する社会主義者も含まれました。在中国の朝鮮人留学生たちは、社会主義思想を取り入れ、様々な運動に参加するようになります。また、北東アジアでの抗日活動において、特に中国共産党の影響の下、朝鮮人志士が集まり彼らの活動が活発化しました。このようにして、1930年代までに中国共産党の指導下にある朝鮮人社会主義者たちが形成され、後の延安派の形成へと繋がります。

延安での集結

1936年、中国共産党が延安に本拠を移すと、多くの朝鮮人革命家たちがここに集まり、左派抗日民族運動の重要な拠点となりました。その中には、ニム・ウェールズによって描かれた「キム・サン」として知られる張志楽もおり、彼の活動は欧米にまで知られることになりました。しかし、彼は日本にスパイとしての疑いをかけられ、1938年には処刑されるという不運に見舞われます。

1940年代に入ると、金枓奉や崔昌益といった懐かしい名前の革命家たちが延安に集結し、朝鮮独立同盟を結成します。これにより、朝鮮人活動家たちが団結し、自立した運動を展開する上での基盤を築くことができました。また、朝鮮義勇軍として日本に対抗する軍事組織も設立されました。

戦後と政権抗争

1945年8月、戦争が終結し、朝鮮が解放されると延安派のメンバーは順次帰国し、北朝鮮の社会主義体制の構築に参加しました。しかし、彼らは金日成らの満州派や他の派閥と激しい勢力争いを経験し、次第にその力を失うことになります。1946年には新たに朝鮮新民党を結成しましたが、同年の夏にはこの党が金日成の朝鮮共産党北朝鮮分局に吸収され、北朝鮮労働党へと発展を遂げました。

延安派の幹部たちは、武亭や金雄、朴一禹といったメンバーにより、朝鮮人民軍の重要な位置を占めるようになりました。しかし、1956年のスターリン批判を契機に、金日成に対する批判が始まり、最終的には延安派は敗北し、グループとして消滅しました。

主要メンバーとその運命

延安派の主要メンバーには、金枓奉や崔昌益、武亭などがいます。彼らは中国共産党のもとで活動し、北朝鮮でも様々な高い地位に就きましたが、時が経つにつれて粛清の運命を辿る者が多くなりました。金枓奉は最高人民会議常任委員会の委員長を経て1958年に粛清され、崔昌益は副首相を務めた後、1956年に党除名となり、獄死または処刑に至りました。

結論

延安派は、北朝鮮の政治的形成において重要な役割を果たしましたが、内部対立や政権競争の結果、思い通りの道を歩むことができませんでした。彼らの歴史は、社会主義運動が持つ複雑さとリーダーシップの変動を浮き彫りにしています。彼らの活動とその後の運命は、今なお北朝鮮史において重要な教訓を提供しています。

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