東方勤労者共産大学

東方勤労者共産大学について

東方勤労者共産大学（とうほうきんろうしゃきょうさんだいがく）は、略称クートヴェ（КУТВ）として知られる、共産主義の教育機関です。1921年4月にモスクワで設立され、その後同年の10月に正式に開校しました。この大学は、コミンテルンが植民地や発展途上国の共産主義者に教育を施すために設立されたものであり、主にアジア地域からの留学生に焦点を当てていました。

設立の背景と目的

東方勤労者共産大学は、同時期に設立された西方勤労者共産大学との役割を分担し、特にアジアの労働者や共産党幹部を育成することを目的としていました。創設当初の学長はグリゴリー・ブロイドが務め、1928年からはヨシフ・スターリンが名誉学長として在籍しました。本校は、理論学習だけでなく、党組織、プロパガンダ、革命戦術、労働組合の組織など、実践的な内容も重視したカリキュラムを提供していました。

拡大と活動

本校は、モスクワの他に、バクー、イルクーツク、タシケントにも分校を持ち、広範囲にわたる活動を行いました。また、機関誌『東洋の革命』（Революционный Восток）を刊行し、国内外に情報を発信する役割も果たしました。東方勤労者共産大学は、1938年に閉校しましたが、その機能はソ連の各地に分散して引き継がれました。

留学生と影響

この大学には多くの著名な留学生が在籍しました。中華人民共和国の国家主席である劉少奇や副首相の鄧小平、ベトナムの国家主席ホー・チ・ミンなど、アジア各国から数多くの指導者が学びました。また、日本からも多くの左翼運動関係者が留学し、特に日本共産党から派遣された者たちが多く通いました。留学生の中には、特高警察に捕えられた松村昇（飯塚盈延）や、非転向を貫いた袴田里見・春日庄次郎などがいます。

特高警察との関係

1930年代には、ソ連国内での大粛清が進行し、大学の卒業生や在籍者の多くが影響を受けました。特に、ソ連に残った日本人留学生の大半は逮捕され、迫害の対象となりました。また、日本で活動していた彼らも特高警察によって弾圧されるなど、厳しい状況が続きました。

結論

このように、東方勤労者共産大学は、アジア地域の共産主義者にとって重要な教育機関であったものの、その歴史は困難な状況に満ちたものでした。留学生たちは、個々の国へ戻ることで、自国の運動に貢献しようと奮闘しましたが、社会情勢の変化により、時に悲劇的な結果をもたらすこともありました。

その影響は、今なお評価されることが多く、特に戦後の日本共産党においてクートヴェでの経験が重要視されることがありました。そのため、東方勤労者共産大学は歴史において特別な位置づけを持つ存在となっているのです。

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