全日本アラブ争覇

全日本アラブ争覇

概要と歴史

「全日本アラブ争覇（ぜんにほんアラブそうは）」は、かつて日本の地方競馬において実施されていた重賞競走の一つです。神奈川県川崎市の川崎競馬場を舞台に、アングロアラブ系の競走馬たちによって争われました。このレースは、特に若き2歳のアラブ系競走馬に焦点が当てられていました。

その歴史は1952年に遡ります。創設当初は、サラブレッド系旧3歳馬（現在の2歳馬）による主要競走である全日本3歳優駿（現：全日本2歳優駿）のアラブ版とも言うべき位置づけでスタートしました。開催時期も本家のレースと同様に、例年11月から12月にかけて行われていました。創設当初、このレースへの出走が許されていたのは、南関東公営競馬に所属する馬たちに限られていました。

競走条件と全国交流化

全日本アラブ争覇は、創設以来、アングロアラブ系旧3歳馬（2歳馬）のためのレースとして行われていましたが、その出走条件は時代とともに変化しました。特に重要な転換点となったのは1985年です。この年から、全日本アラブ争覇は地方競馬全国交流競走として実施されることになりました。これにより、南関東地区所属馬だけでなく、日本各地の地方競馬場から強いアングロアラブ系2歳馬が川崎競馬場に集まり、地方競馬全体のアラブ系若駒の頂点を争う舞台の一つとして、その重要性を増しました。

また、競走距離についても変遷がありました。創設当初の第1回から第4回まではダート1400メートルで行われていましたが、第5回から第12回にかけてはダート1500メートルに変更されました。そして、第13回以降はダート1600メートルで定着し、レースの性格にも変化が見られました。

競走の終焉

地方競馬におけるアングロアラブ系競走は、サラブレッド系競走への重点移行や生産頭数の減少といった時代の流れの中で、徐々にその規模を縮小していきました。特に南関東公営競馬においては、アングロアラブ系競走全体の見直しが進められました。

このような背景の中、全日本アラブ争覇もその例外ではありませんでした。地方競馬全体のアラブ系若駒の有力な目標レースとして機能していましたが、南関東地区におけるアングロアラブ系競走プログラムの撤退・廃止の流れに伴い、1996年をもってその長い歴史に幕を閉じました。

全日本アラブ争覇は、同じくアングロアラブ系2歳馬による地方全国交流競走であった全日本2歳アラブ優駿（高知競馬場などで開催）などと共に、かつて地方競馬において重要な位置を占めていたアングロアラブ競走文化の一端を担う存在でした。その廃止は、地方競馬におけるアングロアラブ系競走の衰退期を象徴する出来事の一つと言えます。

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