全日本労働総同盟

全日本労働総同盟（ぜんにほんろうどうそうどうめい）

全日本労働総同盟（略称：全総）は、戦前の日本における主な労働組合ナショナルセンターの一つとして位置づけられています。この組織は、日本労働組合総連合会（連合）が発足する以前の日本の労働運動の中心として活動していました。

設立と歴史的背景

1964年11月11日、全日本労働組合会議（全労会議）、全日本労働総同盟組合会議（同盟会議）、および日本労働組合総同盟（総同盟）が合流し、全日本労働総同盟が設立されました。この結成大会は九段会館で行われ、「自由にして民主的な労働組合」をスローガンとして掲げました。また、政治的には民社党を支持し、左派路線を持つ日本社会党を支持する日本労働組合総評議会（総評）に対抗する形を取りました。

労働運動の再編と新たな流れ

1980年代後半、全日本民間労働組合協議会（全民労協）、さらに全日本民間労働組合連合会（全民労連）が設立され、続いて1989年には日本労働組合総連合会（連合）が形成されました。このような一連の流れは、全日本労働総同盟の運営方針に沿ったものであり、その結果、全日本労働総同盟は連合の主流派として大きな影響力を持つようになりました。また、同盟は連合の結成にあたり、左翼・共産主義系の組織の排除を許可しました。これにより、総評は解散へと追いやられました。

同盟の解散とその後

全日本労働総同盟は、解散後も友愛会議、友愛会、友愛連絡会と名称を変えながら活動を続けていましたが、2007年8月31日に友愛連絡会が解散し、43年にわたる同盟の歴史が幕を閉じました。その後、友愛連絡会は政策研究フォーラムや核兵器禁止平和建設国民会議への支援を行っていましたが、次第にその存在は薄れていきました。

2017年から2018年にかけて、民進党が分裂する中、旧総評系の労組の多くが立憲民主党に移籍したのに対し、旧同盟系労組の議員たちは国民民主党に参加しました。その後、2020年には国民民主党の一部と立憲民主党が合流し、新たな形の政党が誕生しました。

同盟の政策と理念

全日本労働総同盟の政策は、労使の協調や全国民の中産階級化、以及び全体主義への反対などを掲げていました。これらは、従来の労使対立の枠を超え、労働者と使用者が協力することで企業の成長を図り、結果的に労働者の利益も拡大されるという考え方に基づいていました。特に、同盟が支持する業界の労働組合は、経済の発展を通じて厚みのある中間層を形成し、「一億総中流」の現象を生み出しました。

また、同盟は、自衛隊や原発の容認といった立場も取り、特に関係の深い金属、自動車、電力、繊維などの産業の労働組合が主な構成員でした。全体主義に対しては、右翼よりも左翼との対抗を強め、自由民主党と共闘する姿勢を見せました。国際的には、資本主義国家群の労働組合に属する国際自由労連に加盟しました。

加盟組合の多様性

解散時点での全日本労働総同盟の加盟組合は、官公労が主流の総評とは異なり、民間の労働組合が中心でした。主な加盟組合としては、ゼンセン同盟（現在のUAゼンセン）、全国金属産業労働組合同盟（全金同盟、現在のJAM）、日本自動車産業労働組合連合会（自動車労連）などがあります。これらの組織は、今もなお日本の労働運動において重要な役割を果たしています。

全日本労働総同盟は、日本の労働運動とその発展において重要な役割を担っており、その歴史的な影響は現在においてもなお感じられます。

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