全日空機淡路島空中接触事故

全日空淡路島空中接触事故

1969年12月14日、大阪湾上空で全日本空輸（全日空）の旅客機と読売新聞社の社用機が空中接触するという、日本初の定期旅客機による空中接触事故が発生しました。

事故の概要

全日空547便（YS-11型機）は、伊丹空港を11時13分に松山空港へ向けて離陸しました。乗員4名、乗客41名を乗せた547便は、大阪湾上空を高度3150m、速度390km/hで有視界飛行をしていました。

一方、読売新聞社のビーチクラフト機もほぼ同時刻に伊丹空港を離陸し、テスト飛行のため大阪湾上空を高度3150m、速度220km/hで飛行していました。当日の天候は快晴で、視界は30kmと良好でした。

11時22分頃、両機は兵庫県淡路島の岩屋上空で空中接触しました。全日空547便の機長が計器チェック後に顔を上げたところ、右斜め上方に読売新聞社機を発見。衝突を回避しようと機首を下げましたが間に合わず、接触に至りました。

事故原因は、双方のパイロットが相手の存在に気付くのが遅れたことによる、単純なミスでした。この接触により、全日空547便は左主翼端が2mほど引きちぎられる損傷を受けましたが、エンジンや計器に異常はなく、操縦も可能だったため、伊丹空港に引き返し、15分後に無事着陸しました。一方、読売新聞社機は胴体下部外板の損傷、プロペラの曲がり、方向舵の不具合、右エンジン停止など大きな損傷を受けましたが、こちらも無事帰還しました。幸いにも、この接触事故による死傷者はいませんでした。

事故のその後

全日空547便に使用されていた機体（JA8743）は、事故発生のわずか4ヶ月前の1969年8月に導入されたばかりの新機でした。航空需要が増加していた時期でもあったため、事故による運休期間を短縮するべく、三菱重工業小牧工場で製造中だった主翼を流用し、事故から約1ヶ月後の1970年1月15日には運航を再開しました。また、事故で損傷した主翼も修理され、別の機体に取り付けられました。

この機体（JA8743）はその後、YS-11A500型機に改造され、1991年にエアーニッポンにリースされました。1997年に返却された後、1998年1月26日に航空機登録を抹消され、現在は香川県の「さぬきこどもの国」で保存展示されています。

出典

参考文献
青木勝『YS-11が飛んだ空-全182機それぞれの生涯』、朝日新聞社、2007年、250-253頁
関連項目
全日空の航空事故およびインシデント
* 空中衝突

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