全能者ハリストス

全能者ハリストス (パントクラトール)とは

全能者ハリストス（ギリシア語: Παντοκράτωρ, ロシア語: Вседержи́тель）は、イエス・キリストのイコンにおける主要な形式の一つです。このイコンは、キリストが天上の王であり、全宇宙の審判者であることを力強く示しています。デイシス（聖堂のイコノスタシスの中央に配置されるイコン）の一部から発展した形式であり、ギリシャ語の発音をそのまま転写して「パントクラトール」と呼ばれることもあります。ロシア語では「Спас Вседержитель」（救世主全能者）とも呼ばれます。

概要

全能者ハリストスのイコンは、主に正教会で使用されますが、ビザンティン美術の影響を受けた西方教会でも見られます。「全能者ハリストス」はイコンの名称として広く用いられていますが、「全能のキリスト」という敬称自体はイコンに限定されず、様々な場面で使用されます。また、「全能者」という称号は、三位一体の神における「神父」を指す場合もあります。

旧約聖書と新約聖書のいずれにおいても、キリストは繰り返し全能であると述べられており、このイコンはその概念を視覚的に表現しています。

この形式のイコンでは、通常、キリストの左手には福音書が描かれ、右手は祝福を与える仕草をしています。

象徴的要素

全能者ハリストスのイコンには、特有の象徴的要素が用いられています。

濃緑色のマンドーラ: 黙示録4章3節にある「虹は寶座を繞りて、其色葱珩の如し」という記述に由来し、神の栄光と恵みを象徴しています。
赤い八角の星: 天地創造が7日間で行われたという事実にちなみ、「8」は現世を超えた来世を表します。赤い炎は、エゼキエル書第1章にあるように、神の臨在を示しています。
四福音記者の象徴: イオアン（ヨハネ）は鷲、マトフェイ（マタイ）は人、ルカは牛、マルコは獅子で表され、世界の隅々まで福音を広める使命を表しています。

これらの要素が組み合わさることで、全能者ハリストスのイコンは、キリストの神性と全能性を力強く表現しています。

ギャラリー

以下に、全能者ハリストスのイコンの例をいくつか示します。

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関連項目

救世主イエス・キリスト
ビザンティン建築
アトス山
ゲラティ修道院
カーリエ博物館
メニル・コレクション

外部リンク

大阪ハリストス正教会
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