兪通源

兪通源（ゆ つうげん、生年不詳 - 1389年）は、元末から明初の動乱期に活躍した武将です。字を百川といい、本貫は濠州にあります。父は兪廷玉で、その子として生まれました。

元末の混乱期、兪通源は父に従い汝州や潁州で反乱を起こし、水軍を率いて巣湖を拠点に各地を攻撃しました。その後、至正15年（1355年）には、父や兄の兪通海とともに朱元璋に降伏し、その麾下に入ります。

明朝が成立した洪武元年（1368年）、兪通源は徐達に従って中原を制圧する戦いに参加し、馮勝らと合流して太原を攻略、さらに河中を平定するなどの戦功を挙げました。翌洪武2年（1369年）には、黄河を渡り鹿台を陥落させ、鳳翔、鞏昌、涇州を奪取して開城を守備しました。張良臣が慶陽で反乱を起こすと、徐達の命令で諸将と共に慶陽に進軍し、臨洮から涇州を経て慶陽の西を扼し、張良臣を敗死させ、慶陽を陥落させるのに大きく貢献しました。

洪武3年（1370年）には、定西の攻撃や興元の攻略において先頭に立ち、その功績により南安侯に封じられ、世襲の権利を与えられました。洪武4年（1371年）には、廖永忠に従って夏を攻撃し、その後も徐達に従って塞北へ出撃し、甘粛の経略で功績を挙げました。また、江南の富民14万人を鳳陽に移住させ、農業に従事させる事業の監督も務めました。さらに雲南征討にも参加し、広南の少数民族を討伐して数万人を捕斬する活躍を見せました。

洪武22年（1389年）には帰郷を命じられ、巣県に邸を構えることになりましたが、出発前に病没しました。子の兪祖は病のため家督を継ぐことができませんでした。洪武23年（1390年）、兪通源は生前に胡惟庸の党であったとされ、爵位を剥奪されました。しかし、本人が既に死去していたため、子孫は罪に問われることはありませんでした。

兪通源は、その生涯を通じて各地を転戦し、数々の戦功を挙げましたが、晩年には政争に巻き込まれて不遇の死を迎えることとなりました。彼は、元末から明初への激動期を生き抜いた、勇猛果敢な武将の一人であったと言えるでしょう。

参考資料：『明史』巻133 列伝第21

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