八十里越 (一次改築)

八十里越（国道289号）について

八十里越は、新潟県三条市から福島県南会津郡只見町に至る国道289号の改築事業です。総延長20.8kmに及ぶこのプロジェクトは、長らく車両の通行が困難だった区間の解消を目指し、新潟県、福島県、国土交通省が連携して進められています。

事業の概要

1970年（昭和45年）に国道289号に指定されたものの、未整備区間となっていた八十里越。その解消のため、以下の3つの区間に分けて事業が進められています。

1. 大江道路（新潟県）： 起点側の1.2km。トンネルと橋梁の建設。
2. 直轄権限代行区間（国土交通省）： 県境を含む11.8km。11本のトンネルと8本の橋梁を建設。
3. 入叶津道路（福島県）： 終点側の7.81km。トンネル2本と橋梁7本を建設。

沿線は急峻な地形と豪雪地帯であり、工事期間は限られています。また、イヌワシやクマタカなどの希少生物が生息しており、環境保全にも配慮した工事が求められています。

当初、2021年（令和3年）に全線開通の見通しが示されましたが、豪雨による斜面崩落や想定外の岩盤の発見により、開通は2026年（令和8年）秋から2027年（令和9年）夏にずれ込む見込みです。福島県区間では、平石山トンネルが未完成のため、当初は冬季間通行止めとなる予定です。

各区間の詳細

大江道路

全長：1.2km
構造物：日本平トンネル（478m）、1号橋梁（55m）
特徴：日本平トンネルは、掘削途中で岩質が変化したため、工法が変更されました。

直轄権限代行区間

全長：11.8km
構造物：11本のトンネルと8本の橋梁
特徴：9号トンネル（3,168m）は、三条市側からの一方向掘削という厳しい条件で建設されました。トンネル内では盤膨れが発生したため、インバート工が施されています。

入叶津道路

全長：7.81km
構造物：トンネル2本、橋梁7本
特徴：1.1kmの区間は既に供用済み。未着工区間には平石山トンネル（642m）があります。これは、雪崩対策として坑口部が延長されました。用地取得が難航しています。

主な構造物

直轄権限代行区間

1号橋梁：239m
1号トンネル：733m
2号トンネル：504m
2号橋梁：190.2m
3号トンネル：168m
4号トンネル：178m
3号橋梁：63.5m
5号トンネル：665m
4号橋梁：131.0m
6号トンネル：1,195m
5号橋梁：337.0m
7号トンネル：952m
8号トンネル：186m
6号橋梁：15m（3号スノーシェルターと一体）
9号トンネル：3,168m
7号橋梁：33m（10号スノーシェルターと一体）
8号橋梁：60m
10号トンネル：138m
11号トンネル：1,417m

入叶津道路

木ノ根沢橋：61.0m
叶津第2トンネル：566.5m
ナコ沢橋：30.0m
叶津第1トンネル：296.0m
大麻平橋：42.7m
岩蕗橋：41.30m
滝ノ沢橋：63.00m
白沢平橋：94.1m
大三本橋：99.7m
平石山トンネル（未完成）：642m

今後の展望

八十里越の開通は、新潟県と福島県を結ぶ重要なルートを確立し、地域経済の活性化に貢献することが期待されます。難工事と環境への配慮を両立させながら、一日も早い全線開通が望まれます。

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