八戸市博物館

八戸市博物館：地域の歴史と文化を伝える

八戸市博物館は、青森県八戸市根城に位置する市営博物館です。中世南部氏の居城であった根城跡の敷地内にあり、歴史を感じさせる立地が特徴です。隣接する根城の広場には、中世の城跡や復元家屋が整備されています。

沿革

博物館建設以前は、是川考古館と八戸市歴史民俗資料館が市内の埋蔵文化財を保管・展示していました。八戸市制50周年を記念し、当時の秋山皐二郎市長の発案により、市立博物館として大規模な博物館が建設されることになりました。

1980年5月：博物館基本構想策定委員会が発足（委員長：小井田幸哉）。
1981年9月：起工。
1983年7月：開館。郷土史家の正部家種康が初代館長に就任。是川考古館と八戸市歴史民俗資料館は博物館の分館となりました。
1994年6月：縄文学習館が開館し、博物館の組織に加わりました。
1994年10月：史跡 根城の広場がオープン。
2001年7月：博物館前に南部師行騎馬像が建立。
2005年3月：南郷村との合併により、南郷歴史民俗資料館が博物館の組織に加わりました。
2011年3月：八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館の開館に伴い、八戸市縄文学習館・八戸市歴史民俗資料館・是川考古館が博物館の組織から外れました。

展示物

八戸市博物館では、市内から出土した土偶や土器、古代太刀の一部、農具、漁具など、多岐にわたる資料を収蔵・展示しています。特に、伝統的な祭りであるえんぶりや八戸三社大祭に関する資料は、地域の文化を深く理解する上で貴重です。収蔵資料は約1万点に及びます。

考古

縄文時代から安土桃山時代、さらには八戸城出土品を含む近世までの遺物を展示しています。古代の展示では、2018年に重要文化財に指定された「丹後平古墳群出土品」が新たに加わりました。これらの資料は、飛鳥時代から平安時代末期にかけてのもので、当時の東北北部の様相を知る上で重要な資料です。特に、黄銅製の柄頭や、蕨手刀、多種多様な玉などは、末期古墳の特徴的な副葬品であり、当時の祭祀の様子を伝えています。

また、1989年に風張１遺跡から出土した合掌土偶は、1997年に重要文化財、2009年には国宝に指定されました。合掌土偶は、縄文時代の習俗を知る上で学術的な価値が高く評価されています。2011年3月まで八戸市博物館で展示されていましたが、現在は八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館に移されています。2000年には、皇太子徳仁親王（当時）が博物館を見学した際、レプリカが贈呈され、後に愛子内親王の誕生に関連して「祈りの土偶」「癒しの土偶」としてメディアで紹介されました。

中世・近世

博物館では、根城南部氏に関する古文書や武具などが展示されています。盛岡南部氏から分かれた南部八戸藩2万石の歴史を、絵画や八戸城の復元模型、鶴姫の婚礼調度品などを通して知ることができます。

近代

重要有形民俗文化財である「八戸及び周辺地域の漁撈用具と浜小屋」の一部が収蔵・展示されています。これにより、近代の八戸における漁業の様子を知ることができます。

その他

昔話や民謡、南部地方の方言での会話などを知ることができる「無形展示資料室」が設けられています。2014年1月のリニューアルオープンで設置された「はちのへ発見伝」では、音声に映像を加え、市内小中学校の校歌、芸能、祭り、観光情報などをタッチパネルPCで閲覧できます。

アクセス

八戸自動車道：八戸ICより車で約10分。
南部バス・八戸市営バス：「根城（博物館前）」バス停下車、徒歩約1分。

関連施設

八戸市美術館
八戸市縄文学習館
八戸市埋蔵文化財センター 是川縄文館
八戸市南郷歴史民俗資料館

八戸市博物館は、八戸の歴史と文化を深く理解するための貴重な場所です。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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