八景山橋

八景山橋について

八景山橋（やけやまばし）は、長野県松本市を流れる梓川に架かる橋で、梓川八景山と波田赤松という二つの地域を結んでいます。この橋は、主に八景山町会と花見町会の人々が、通勤、通学、買い物などの日常生活で利用しています。

橋の特徴

八景山橋は、水量の増加により橋が水没してしまうことがあるため、「沈下橋」や「もぐり橋」とも呼ばれます。ただし、これらは固有名詞ではなく、一般的な名称です。1960年代以前には「赤松の堰堤」という名前で呼ばれていました。現在では、松本市道梓川4号線の一部として機能しています。

橋の長さは30.4メートル、幅は2メートルです。橋げたはそれほど高くなく、河床からの高さは約1.5メートルです。そのため、大雨や上流のダムからの放流で梓川が増水すると、橋が水没し通行止めとなります。過去5年間では、年間平均5回程度（1回あたり数日間）通行止めになっています。

梓川の左岸側（八景山側）からは二輪車の通行が可能ですが、右岸側（赤松側）は堤防が階段状になっているため、二輪車は通行できません。

歴史

赤松頭首工

八景山橋は、もともと1931年に作られた「赤松頭首工」という梓川の水を堰き止め、用水路に水を導くための施設の一部でした。1977年に代替施設が完成し、頭首工としての役割を終えましたが、堰堤自体は残されました。この堰堤が、八景山集落の人々にとって対岸へ渡るための貴重な手段となり、その後2度の改修を経て現在の八景山橋となっています。

灌漑用水路としての役割

梓川には、かつて14の取水口があり、それぞれが灌漑用水路に水を取り入れていました。しかし、洪水で取水施設が頻繁に壊れたり、渇水時には水を取り合うなどの問題がありました。これらの問題を解決するために、1931年に県営農業水利事業として14の取水口を統合した「赤松頭首工」が作られました。しかし、この頭首工は砂礫の流入が激しく、十分に機能しませんでした。そこで、約3km上流に新たな頭首工が計画され、1950年に完成しました。これが現在の梓川頭首工です。梓川頭首工の完成後も赤松頭首工は補給水取入れのため補足的に使用されましたが、1977年に奈川渡ダム等の完成により、その役割を終え撤去されました。

渡河施設としての活用

赤松頭首工の堰堤は、八景山集落にとって対岸の駅に行くための重要な渡河施設でした。頭首工が撤去されると住民は対岸に渡ることが困難になるため、地域住民の要望に応えて、430万円の事業費で渡河専用施設として改修されました。さらに、2009年度には老朽化した部分を補修するために、松本市が1200万円の予算を投じて改修工事を行いました。

将来の計画

代替橋計画

八景山集落は東西に長く、その中央を県道278号線が通っています。県道の西端は国道158号に接続していますが、その間に落石や土砂崩れが発生する危険な場所があります。2013年4月からこの区間は通行止めとなっており、復旧の目処は立っていません。

そこで、県は抜本的な対策として、梓川と波田地区を結ぶ新しい橋を架け、国道158号につなげるバイパス道路を建設する方針を固めました。2014年度には、ルート選定のための調査が開始されています。

渋滞対策道路

県道バイパス計画とは別に、国道158号の渋滞対策道路も計画されています。この道路は、自動車専用道路の松本波田道路とその出口である波田ICを前提としたもので、すでに工事が始まっています。計画中の県道バイパスは、この渋滞対策道路と合流してから国道158号に接続する予定です。

周辺情報

八景山橋周辺には、以下の施設があります。

上高地線新島々駅・バスターミナル（右岸）
昭和電工赤松発電所（右岸）
八景山集落（左岸、松本市梓川地区）
花見集落（左岸、松本市梓川地区）
* 赤松集落（右岸、松本市波田地区）

まとめ

八景山橋は、地域の生活を支える重要な橋であり、その歴史は地域の発展と密接に結びついています。将来の代替橋計画が進むことで、より安全で快適な交通手段が確保されることが期待されます。

もう一度検索