八栗ケーブル

八栗ケーブル：四国霊場へのアクセスと歴史を巡る旅

四国電鉄グループの四国ケーブルが運営する八栗ケーブルは、香川県高松市牟礼町にある八栗登山口駅から、八栗山上駅までを結ぶケーブルカー路線です。標高差167m、全長700mの短い路線ながら、四国八十八箇所霊場第85番札所、五剣山八栗寺へのアクセスとして、多くの参拝客で賑わっています。

歴史：戦後の復興と半世紀以上の運行

八栗ケーブルの歴史は古く、前身である八栗登山鉄道が1931年に開業しています。しかし、戦時中の資材供出により1944年に休止、その後廃止されました。現在の八栗ケーブルは、1964年に再建されたもので、戦後復興の象徴とも言える存在です。再開業に際しては、日立製作所で製造された新型車両が導入され、現在もその車両が活躍を続けています。

開業以来、地元住民や観光客の足として親しまれてきた八栗ケーブル。近年では、レトロな車両と美しい景観が相まって、新たな観光資源としても注目されています。毎月1日に行われる縁日には、早朝5時からの運行も実施され、多くの参拝客を受け入れています。

車両：レトロな車両と最新技術の融合

現在運行されている車両は、1964年製の2両編成のコ-1形です。丸みを帯びたボンネット型の前面と、側面の3枚の折り戸が特徴的な車両は、長年使用されてきたものの、定期的なメンテナンスによって良好な状態を保っています。2016年の全般検査時に、車体側面を白、下部を灰色、前面を1号車赤色、2号車青色に塗り替えられ、現在の塗装となっています。これは、開業当初のアイボリー地にブルーのラインの塗装、そしてそれ以前のオレンジと緑の塗装から変更されたものです。

車両の寸法は全長12m、全幅2.65m、全高3.2m、自重10.2tで、定員は127名です。最高速度は時速約12kmと、ゆったりとした速度で運行されています。かつては伊香保ケーブル鉄道や六甲ケーブルでも同型車両が使用されていたことは、鉄道史においても興味深い点です。

運賃体系：参拝客への配慮

八栗ケーブルの運賃は、上りと下り、そして往復で異なる設定となっています。下りの運賃は上りよりも低価格に設定されており、参拝客への配慮が感じられます。

駅：終点から望む絶景

八栗ケーブルには、八栗登山口駅と八栗山上駅の2駅があります。山上駅からは、瀬戸内海と高松市街を一望できる素晴らしい景色を眺めることができます。

まとめ：信仰と観光の融合

八栗ケーブルは、単なる交通手段としてだけでなく、地域の文化や歴史、そして信仰と深く結びついた存在です。戦後の復興を象徴する歴史と、レトロな車両、そして絶景が一体となった八栗ケーブルは、今後も多くの人々に愛される存在であり続けるでしょう。今後の更なる発展にも期待が高まります。

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