公の施設

公の施設とは

公の施設とは、地方自治法第244条第1項に定められている、普通地方公共団体が住民の福祉を増進する目的で、住民の利用に供するために設置する施設を指します。これは施設の行政的な側面を意味し、公有財産という財産的な側面とは区別されます。

具体例

具体的な例としては、以下のような施設が挙げられます。

都道府県または市町村立の道路
公営住宅
学校
水道

概要

1963年の法改正により、地方自治法において独立した章として設けられました。どの施設が「公の施設」に該当するかは個別に判断されますが、以下の要件を満たす必要があります。

住民の利用に供するための施設であること

住民の利用を目的としない施設（試験研究所や庁舎など）は、公の施設とはみなされません。

当該普通地方公共団体の住民の利用に供するための施設であること

原則として、施設を設置する地方公共団体の住民が利用することを想定しています。

住民の福祉を増進する目的をもって住民の利用に供するための施設であること

住民の利用が直接的に福祉の増進に繋がる施設であることが求められます。収益事業のための施設（競輪場や競馬場など）は該当しません。

普通地方公共団体が設ける施設であること

公の施設は物的施設を中心とした概念であり、人的側面は必ずしも要素ではありません。

普通地方公共団体が設けるものであること

国や他の公共団体が設置する施設は、公の施設には該当しません。ただし、特別区、地方公共団体の組合、財産区などの特別地方公共団体には、公の施設に関する規定が準用されます。

使用料と管理

公の施設の利用には使用料が課される場合があります（225条）。また、使用料の督促や滞納処分等についても規定があります（第231条の3）。

公の施設の管理は、原則として施設を設置した地方公共団体が行いますが、一定の条件下で管理を委託することができます。管理受託できる団体は、当初は公共団体や公共的団体に限定されていましたが、法改正により、第三セクターや法人、市民団体など、幅広い団体に委託できるようになりました。

公の施設の区域外設置

原則として、公の施設は地方公共団体の区域内に設置されますが、関係する地方公共団体との協議により、区域外に設置することも可能です。また、他の地方公共団体の住民が利用することも想定されており、その利用が施設の設置目的に反しない場合は、広く住民に利用を供することができます。

具体例

東京都立八柱霊園（千葉県松戸市）
盛岡市立月が丘小学校（岩手県滝沢市）

不服申立て

行政不服審査法の改正により、異議申立てを経た上での審査請求等の規定は廃止され、普通地方公共団体の長に対する審査請求に一本化されました。

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