六君子湯

六君子湯（りっくんしとう）

六君子湯は、漢方医学において用いられる方剤の一種です。その起源は、明代の医書である『万病回春』に遡ります。

概要

六君子湯は、主に補気剤として分類されます。補気剤とは、体内の「気」を補い、機能を高めることを目的とした漢方薬です。

効能・効果

六君子湯は、以下のような症状や状態に対して効果が期待できます。

適応：虚弱体質の人の消化不良、食欲不振、嘔吐など。
保険適用エキス剤の適応：胃炎、胃アトニー、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐。

近年行われた臨床試験では、六君子湯が上部消化管機能異常に起因する食欲不振や胃部不快感、胃もたれといった症状、特に運動不全型の上腹部不定愁訴に対して、有意な改善効果を示すことが確認されています。

組成

六君子湯は、以下の8つの生薬から構成されています。

白朮（びゃくじゅつ）
茯苓（ぶくりょう）
人参（にんじん）
半夏（はんげ）
陳皮（ちんぴ）
大棗（たいそう）
生姜（しょうきょう）
甘草（かんぞう）

方解

六君子湯は、四君子湯と二陳湯という二つの漢方処方を組み合わせたものです。

四君子湯：白朮、茯苓、人参、大棗、生姜、甘草
二陳湯：半夏、陳皮、茯苓、生姜、甘草

六君子湯の名前は、これらの処方の主要な生薬である白朮、茯苓、人参、甘草、陳皮、半夏の6つに由来します。

相互作用

六君子湯を使用する際には、以下の点に注意が必要です。

併用注意：甘草を含有する製剤や、グリチルリチン酸及びその塩類を含有する製剤との併用により、偽アルドステロン症やミオパシーといった副作用が出現しやすくなる可能性があります。

副作用

六君子湯の副作用としては、以下のようなものが報告されています。

重大な副作用：偽アルドステロン症、ミオパシー、肝機能障害、黄疸
その他：発疹、蕁麻疹、悪心、腹部膨満感、下痢など

注意事項

六君子湯を使用する際には、以下の点に注意が必要です。

高齢者は生理機能が低下している場合があるため、慎重な投与が必要です。
妊産婦や小児に対する安全性は確立されていないため、注意が必要です。

市販薬

小林製薬から販売されている市販薬「ギャクリア」は、六君子湯の処方に基づいて作られています。

関連処方

四君子湯
二陳湯

脚注

関連項目

君臣佐使

外部リンク

* 医療関係者向けサイト漢方スクエア「六君子湯関連コーナー」：六君子湯のエビデンス情報がまとめられています。

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