六郷神社

六郷神社：歴史と伝統を紡ぐ大田区の鎮守

東京都大田区東六郷に鎮座する六郷神社は、地域住民の総鎮守として、古くから信仰を集めてきた神社です。その歴史は平安時代後期に遡ると伝えられており、源氏ゆかりの神社としても有名です。

創建と源氏との関わり

社伝によれば、天喜5年（1057年）、源頼義と源義家父子が前九年の役の際、この地の大杉に源氏の白旗を掲げ、石清水八幡宮に武運長久を祈願したとされています。その祈願が成就し、勝利を収めたのち、石清水八幡宮より分霊を勧請して八幡宮が創建されたと伝えられています。江戸時代には「六郷八幡宮」と呼ばれていました。

源氏との関わりはその後も続き、文治5年（1189年）、源頼朝も奥州合戦の勝利を祈願し、白旗を立てました。建久2年（1191年）には、梶原景時が社殿を造営し、現在も社宝として残る雌獅子頭や境内の浄水石、神門前の太鼓橋などがこの時に奉献・寄進されたものです。

徳川家康との深い縁

徳川家康も六郷神社を深く崇敬しており、天正19年（1591年）には神領として十八石を寄進する朱印状を発給しました。慶長5年（1600年）には、六郷川に架橋（六郷大橋）を命じ、竣工を祈願し、神輿による渡初式を行ったと伝えられています。このことから、神社の神紋には八幡宮の巴紋と三つ葉葵紋が用いられています。

祭神と祭事

祭神は八幡大神（誉田別尊）です。かつては八幡三神（誉田別尊、神功皇后、比売大神）を祀っていましたが、江戸時代の書物によると、曳船祭の際に神輿が流されたり、祟りがあったりしたため、現在では誉田別尊のみを祀るようになりました。

六郷神社では、現在も盛んに伝統的な祭事が行われています。例大祭は毎年6月3日に行われ、神輿渡御や獅子舞の奉納、六郷ばやしなどが行われます。また、1月7日にはこどもの開運を祈願する七草こども流鏑馬祭が行われ、子どもたちが馬に乗らずに的を射る、独特の流鏑馬が奉納されます。かつては、関東三大船祭りの一つとして知られた曳船祭も行われていました。

境内と文化財

境内の社殿は昭和62年（1987年）に建て替えられましたが、享保4年（1719年）に造営された本殿は改修されて残されています。境内には、梶原景時寄進と伝えられる石造の太鼓橋や、大田区指定有形文化財である狛犬など、歴史を感じさせる建造物や文化財が数多く残されています。また、六郷神社獅子舞や六郷神社の流鏑馬も大田区や東京都の指定文化財に指定されています。

まとめ

六郷神社は、長い歴史と、源氏や徳川家康といった歴史上の著名な人物との関わり、そして現在も受け継がれる伝統的な祭事など、多くの魅力を兼ね備えた神社です。大田区の歴史と文化を象徴する場所として、これからも地域の人々に愛され続けることでしょう。

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