共王 (楚)

共王（龔王）について

共王、または龔王（きょうおう）は、中国春秋時代に楚の王として君臨した人物です。本名は羋、氏は熊、諱は審または箴とされています。彼は荘王の子として誕生し、荘王の死去を受けて、紀元前591年に即位しました。荘王の時代、楚は勢力を大いに広げており、天下の覇権を握っていましたが、共王の治世は多くの挑戦と苦闘の歴史に満ちていました。

生涯の出来事

共王の治世の最初の数年は、彼が直面した政局の変化を示しています。即位からわずか2年後の紀元前589年、共王は子重に軍を与え、衛を攻めるとともに、魯に対しても出兵させました。しかし、魯は和睦を求め、彼らは財物を差し出して共王の承諾を得ました。その一方で、共王は臣下が有能であればその能力を生かすことが重要だという見解を示しており、無能であれば放置すべきだと話しました。

次の年、共王は晋から捕虜交換を通じて獲得した智罃（智武子）に対して賢さを感嘆しました。智罃との出会いは共王にとって深い印象を与え、彼は晋との争いは続けられないと判断しました。また、この頃、許と鄭の間での戦が起こり、共王は鄭の不当を理由に許の側に立つ決断をしますが、この介入が後の政局に影響を及ぼしました。

戦争とその結果

共王15年（紀元前576年）には鄭を攻撃し、降服させることに成功しますが、その後の共王16年には、晋が鄭の反乱を助ける形で攻撃してきました。この戦争で共王は重傷を負い、因果関係が絡み合った軍事的失敗が彼の心に重くのしかかりました。彼は戦後、部下を処罰するなど厳しい対応を示し、資源を失った後、自らの政策を見直す必要がありました。

死後の評価

共王は紀元前560年に亡くなり、その時に「私が先代の業績を損ない、自らの手で軍を失ったことは私の責任である」として、自らの諡について深い反省と謙遜の言葉を遺しました。この発言は彼が抱えた責任感を示すものであり、后に自分の評価を厳しく見る姿勢が反映されています。その後、彼を慕う者たちは共の諡号を与えることにしました。

伝説と文化への影響

共王に関連した故事には「楚弓楚得」という逸話があります。共王が狩りの際に弓を忘れたことで生まれたこの故事は、彼の度量を表すものとされていますが、後に孔子がこの論理を逆に批判したことも有名です。この逸話は様々な文献に記録され、後世の詩文にも数多く取り扱われました。

家族

共王の家族には父荘王の他に、兄弟として公子貞、公子午、公子追舒がいます。彼の妻には秦嬴や巴姫がいました。子供たちには康王、霊王、訾敖、熊黒肱、平王がいます。これらの人物たちも楚の歴史において重要な役割を果たしました。

もう一度検索