兵庫県道82号大沢西宮線

兵庫県道82号大沢西宮線

兵庫県道82号大沢西宮線は、神戸市北区大沢町を起点とし、西宮市神楽町の終点に至る主要地方道です。その総延長は約41キロメートルに及び、神戸市北区から西宮市にかけての地域を結ぶ重要な幹線道路の一つとなっています。

歴史

この路線は、1982年（昭和57年）4月1日に主要地方道として指定されるまでは、一般県道112号「六甲神楽線」として知られていました。同年12月1日には兵庫県によって主要地方道82号大沢西宮線として正式に認定され、その後1993年（平成5年）5月11日には、建設省（現在の国土交通省）により主要地方道として改めて指定を受けています。

路線状況

兵庫県道82号は、特に西宮市内において南北方向の交通を担う主要なルートとして機能しています。路線の一部、特に西宮市山口町船坂から越水社家郷山にかけての小笠峠越えの区間は、「七曲がり」という通称で知られるほどの急勾配かつ急カーブが連続する難所として知られています。

交通状況については、1991年（平成3年）3月25日に並行する西宮北道路（盤滝トンネル）が開通したことで、一時期利便性が向上しました。しかし、阪神・淡路大震災以降、三田や神戸市北神地域から西宮、さらには大阪方面への主要な抜け道として利用されるようになり、交通量が著しく増加しました。

この交通量の増加に伴い、いくつかの箇所で慢性的な渋滞が発生するようになりました。特に甲寿橋交差点は長年のボトルネックとなっていましたが、立体交差化による南進事業が実施され、2004年（平成16年）3月に完成したことで渋滞緩和が図られました。一方で、船坂交差点付近のボトルネックは依然として解消されておらず、休日には中国自動車道上り線の渋滞を避けるために西宮北インターチェンジからこの路線を通り、大阪方面へ向かう車両による渋滞が発生しています。

また、西宮市内の都市計画道路建石線に関連して、2007年（平成19年）3月18日に開業したJR神戸線さくら夙川駅の建設工事と並行して、西宮市神楽町から北名次町にかけての区間で拡幅事業が行われました。そのさらに北側、阪急甲陽線との平面交差付近でも慢性的な渋滞が発生しており、阪急線の地下化による踏切廃止が検討されていましたが、沿線住民からの反対があり、2009年12月に事業休止が決定され、この箇所のボトルネック解消は棚上げされる形となりました。このほか、2007年秋からは西宮市鷲林寺交差点付近でも拡幅工事が実施され、こちらは既に完成しています。

近年では、2018年4月1日に西宮北道路が無料開放されたことに伴い、並行していた小笠峠の旧道区間は兵庫県道から西宮市道に移管されています。

重複区間

路線の一部では、他の道路と重複して指定されています。

兵庫県道73号山田三田線（神戸市北区大沢町上大沢 - 大沢町神付）
兵庫県道38号三木三田線（神戸市北区八多町上小名田 - 八多町吉尾）
国道176号（西宮市山口町下山口3丁目 天上橋交差点 - 新明治橋交差点）
兵庫県道16号明石神戸宝塚線（西宮市越水字社家郷山の一部）

地理

この県道が通過する自治体は、神戸市北区と西宮市です。沿線では様々な主要道路と交差しています。

主な交差道路

兵庫県道17号西脇三田線（日西原交差点、起点）
兵庫県道73号山田三田線（大沢町交差点、大沢町神付）
兵庫県道38号三木三田線（上小名田交差点、吉尾交差点）
六甲北有料道路（兵庫県道95号灘三田線）吉尾ランプ
兵庫県道15号神戸三田線（有馬街道、有野インター交差点）
中国自動車道 西宮北IC
国道176号（天上橋交差点、新明治橋交差点）
兵庫県道98号有馬山口線（上山口交差点）
兵庫県道51号宝塚唐櫃線 有馬街道（船坂交差点）
兵庫県道16号明石神戸宝塚線（越水字社家郷山）
山手幹線（西宮市寿町）
国道2号（国道171号重複、神楽町交差点、終点）

沿線施設・見どころ

沿線には地域住民や観光客にとって重要な施設や特徴的な場所が点在しています。

道の駅神戸フルーツ・フラワーパーク大沢（兵庫県道73号経由）
神戸電鉄三田線 田尾寺駅
兵庫県立西宮甲山高等学校
鷲林寺
夫婦岩（通称「お化け岩」）：鷲林寺町付近で道路が分離する間に位置する岩。かつて撤去を試みた際に不幸があったという伝承があり、その後の拡幅工事も岩を避ける形で行われたと言われています。
北山緑化植物園
甲陽学院高等学校
JR神戸線 さくら夙川駅

兵庫県道82号大沢西宮線は、神戸市北部と西宮市中心部を結ぶ重要な交通軸として、地域の発展を支え続けています。そのルートは歴史的な変遷を経て、現在も交通課題への対応が進められています。

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