兵曹 (李氏朝鮮)

兵曹（ピョンジョ）について

兵曹は、朝鮮の高麗末から李氏朝鮮にかけて存在した重要な行政機関で、主に軍事に関連する業務を管理していました。この機関は1392年に設置され、1894年の甲午改革によって「軍務衙門」と改称されました。兵曹は六曹の一つに位置づけられ、軍事権を掌握していたため、しばしば「騎省」や「西銓」と呼ばれ、官吏を指す別称として「夏官」が用いられました。

歴史的背景

兵曹の設立は1389年に遡ります。李成桂により設立された六曹の機構の一部として、その役割を果たし始めました。李朝初期には兵籍の管理が主な業務でしたが、1405年にはより強力な軍事機関として再編成されることとなります。この段階で、兵曹は承枢府から軍事権を引き継ぎ、国家の軍事機関としての機能を強化しました。しかし、1510年に備辺司が設置されると兵曹の軍事権は制約を受けることとなりました。

職掌と業務

兵曹の業務は多岐にわたりました。主に次のような職責が含まれています：武選、軍務、儀衛、郵駅、兵甲、器仗など。特に「武選」では、吏曹の叙任を経ることなく武官を任命することができたため、兵曹にとっては非常に大きな権限となっていました。これにより、兵曹は国家の防衛や軍の維持に重要な役割を果たしました。

組織構成

兵曹の組織は以下のように構成されていました：録事1人、書吏100人、書写1人、庫直7人、大庁直2人、文書直6人、皮帒直4人、房直9人、茶母7人、使令10人、軍士2人。これらの役職はそれぞれの業務に従事し、兵曹全体の機能を支えていました。

まとめ

兵曹は朝鮮時代において、国家の軍事機関として重要な役割を担いました。設置当初からさまざまな役割を演じ、時代に応じてその機能と権限を変遷させていったことで、朝鮮の歴史における軍事行政の一端を支え続けました。1894年の改革を経ても、その影響は朝鮮の軍事史において未だ語り継がれています。

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