内海次郎

内海次郎：激動の時代を駆け抜けた志士

内海次郎（うつみ じろう、天保7年（1836年） - ?）は、幕末の動乱期に新選組の一員として活動し、後に御陵衛士に転じた人物です。武蔵国川越藩士である内海権助の次男として生まれ、その生涯は時代の波に翻弄されながらも、信念を貫き通したものでした。

伊東甲子太郎との出会いと新選組入隊

内海は、伊東甲子太郎の内弟子となり、深川中川町の道場に住み込みました。元治元年（1864年）12月1日、伊東らと共に新選組に入隊。剣術の腕を磨き、隊士として活動しました。

慶応2年（1866年）6月16日には、松本喜次郎・三井丑之助・近藤芳助らを引き連れ、脱走した柴田彦三郎を追跡する任に就きました。福知山を経由して出石に至り、船屋半左衛門方に宿泊。柴田は同月19日、気多郡江原村の骨柳屋宇兵衛方に潜伏していたところを、宵田村の番人たちによって捕縛され、新選組に引き渡されました。この一件で、内海は新選組内での信頼を確立したと考えられます。

同年9月には、三条制札事件に出動。市中警備や不逞浪士の取り締まりに奔走しました。

御陵衛士への転身と油小路事件

慶応3年（1867年）3月、内海は伊東らと行動を共にし、新選組を離脱して御陵衛士を結成。尊王攘夷を掲げ、朝廷警護の任に就きました。しかし、同年11月18日に発生した油小路事件では、朝から阿部十郎と外出していたため難を逃れました。この事件で伊東甲子太郎をはじめとする御陵衛士の幹部が多数暗殺され、内海は薩摩藩に身を寄せることとなりました。

その後、伏見街道での近藤勇襲撃に加わったとされています。

戊辰戦争とその後

戊辰戦争が勃発すると、内海は薩摩藩士・中村半次郎の部隊に加わり、御香宮の戦いなどに参加。旧幕府軍と激戦を繰り広げました。明治2年（1869年）には、戒光寺に御陵衛士墓碑を建立し、同志たちの霊を弔いました。

戊辰戦争終結後、内海は阿部らが隊長を務める第一遊軍隊（徴兵七番隊）に所属。明治4年（1871年）正月に同隊が解隊された後、前橋藩（慶応3年に川越から移転）に預けられました。その後の消息は不明であり、どのような晩年を過ごしたのかは謎に包まれています。

内海次郎は、新選組隊士、御陵衛士として、幕末の激動の時代を駆け抜けた人物でした。時代の波に翻弄されながらも、自身の信じる道を突き進んだ彼の生き様は、現代を生きる私たちに多くの示唆を与えてくれます。

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