内田庶

内田庶（宮田昇）

内田庶（うちだ ちかし、本名：宮田 昇、1928年11月6日 - 2019年3月14日）は、児童文学作家、翻訳家、著作権コンサルタント、実業家として幅広い分野で活躍した人物です。東京都出身。

生涯

明治大学文学部文学科を中退後、近代文学社や南雲堂での勤務を経て、1952年に早川書房に入社。「ハヤカワ・ポケット・ミステリ」の創刊に尽力しました。1955年に早川書房を退社後、チャールズ・イー・タトル商会に勤務する傍ら、内田庶のペンネームで児童書の執筆・翻訳を精力的に行いました。

1967年には独立し、矢野浩三郎と矢野著作権事務所を設立。1970年には「日本ユニ・エージェンシー」に改称し、社長に就任しました。1991年には「日本ユニ著作権センター」を設立し、代表となりました。1992年からは日本ユニ・エージェンシーの会長を務めました。

ペンネームの内田庶名義では児童向けの作品を多数執筆・翻訳し、本名の宮田昇名義では翻訳出版史に関する著作を著しました。また、みすず書房のPR誌「みすず」に「出版太郎」名義で出版コラム「朱筆」を22年にわたり連載しました。

1999年、『翻訳権の戦後史』（みすず書房）で第21回出版学会賞、2002年には第23回著作権功労賞を受賞。2019年3月14日、病気のため神奈川県内の病院で逝去。享年90歳でした。

妻は「S-Fマガジン」初代編集長の福島正実の妹であり、福島が創設した「少年文芸作家クラブ」にも参加。福島正実の没後には、内田の提案により「福島正実記念SF童話賞」が創設されました。

受賞歴

1979年：『朱筆』（出版太郎名義）で第1回日本出版学会賞佳作
1999年：『翻訳権の戦後史』（宮田昇名義）で第21回出版学会賞
2002年：第23回著作権功労賞（日本著作権協議会）
2018年：『昭和の翻訳出版事件簿』（宮田昇名義）で第71回日本推理作家協会賞（評論・研究部門）

主な著作

宮田昇名義

『東は東、西は西 戦後翻訳出版の変遷』（早川書房、1968年）
『翻訳出版の実務 海外著作物の利用のしかた』（出版同人、1976年）
『東アジアの版権市場の実情 版権売買の将来性と問題点』（出版科学研究所、1993年）
『新・翻訳出版事情 著作権の周辺』（日本エディタースクール出版部、1995年）
『翻訳権の戦後史』（みすず書房、1999年）
『戦後「翻訳」風雲録－翻訳者が神々だった時代』（本の雑誌社、2000年）
『新編 戦後翻訳風雲録』（みすず書房、2007年）
『学術論文のための著作権Q&A 著作権法に則った「論文作法」』（東海大学出版会、2003年）
『敗戦三十三回忌 予科練の過去を歩く』（みすず書房、2011年）
『図書館に通う 当世「公立無料貸本屋」事情』（みすず書房、2013年）
『小尾俊人の戦後 みすず書房出発の頃』（みすず書房、2016年）
『出版の境界に生きる 私の歩んだ戦後と出版の七〇年史』（太田出版、2017年）
『昭和の翻訳出版事件簿』（創元社、2017年）

出版太郎名義

『朱筆 出版月誌 1968-1978』（みすず書房、1979年）
『朱筆 II 出版月誌 1979-1990』（みすず書房、1990年）

内田庶名義

著書

『人類のあけぼの号』 (盛光社, 1967年)
『ペンの英雄、カメラの戦士』 (偕成社, 1968年)
『宇宙飛行士ものがたり』 (岩崎書店, 1968年)
『きえたみずうみ』(川崎書店, 1968年)
『宇宙人スサノオ』 (岩崎書店, 1969年)
『幻の特攻機』 (三省堂らいぶらりいSF傑作短編集, 1977年)
『ねじれた時間』 (文化出版局, 1981年)
『ペンギンブックスものがたり 本の世界を変えた本』 (岩崎書店, 1990年)
『時空大明神さま』 (ペップ出版, 1990年)
『自由と平等をもとめた人 リンカーン』 (岩崎書店, 1992年)
『タイムトラベル さまよえる少年兵』 (岩崎書店, 1995年)

翻訳

内田庶は、児童文学の分野で数多くの翻訳を手がけました。主な翻訳作品は以下の通りです。

『ロケット競走の謎』
『深夜の追跡』
『愛の生活技術』
『空飛ぶじゅうたん』
『ヤンキーのゆめの冒険』
その他多数

内田庶は、児童文学作家、翻訳家、著作権コンサルタントとして、日本の出版界に多大な貢献をしました。彼の作品は、今も多くの人々に愛されています。

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