内薬司

内薬司について


内薬司（ないやくし）は、古代日本の律令制において中務省に所属する重要な機関です。この機関は皇室に特化した医療サービスを提供する役割を持ち、特に貴族社会においてその存在意義が大きかったとされています。

職掌


内薬司の主な職務は、皇室の医療と薬の管理です。具体的には、侍医や女医による診察および医薬品の処方を 담당し、皇室に属する人々の健康管理を行っていました。ここでは、侍医は最高位の医官として位置付けられ、女医は産科医として、官戸や官婢から選出されていました。薬の調合や管理には薬生が携わっており、「生」と呼ばれるものの、博士職はこのカテゴリーには存在しなかった点が特筆されます。

また、内薬司には薬種を育成・管理する薬園も存在し、その運営は典薬寮の薬園師が担当しました。必要な薬品が不足する場合には、各地から年料雑薬として納入されることが一般的だったとされています。そのため、薬生も典薬寮の薬戸から選ばれることが多かったのではないかと推測されます。

さらに、女医の育成のため、養老6年（722年）には女医博士が置かれることとなり、それ以前は典薬寮の医博士が女医の指導を行っていました。このように、内薬司は独自の機関でありながら、実質的には典薬寮の一部として機能することが多かったのです。最終的には、寛平8年（896年）に内薬司は典薬寮に統合され、職員も典薬寮に移管されました。

職員構成


内薬司の職員は次のような構成となっていました：

このように、内薬司は多様な職務を持つ職員によって運営されており、それぞれの資格や地位により役割分担が明確にされていました。特に侍医や女医の数は比較的多く、皇族の健康を維持するための重要な役割を果たしていました。

関連機関


内薬司は他の医療機関と密接な関連を持っていました。その一つが施薬院であり、こちらも医療と薬事を扱う機関として、内薬司と連携していました。また、延命院も関連機関であり、長生きや健康を維持するための施策を展開していました。これらの機関の相互作用により、古代日本における医療制度が構築されていったのです。

まとめ


内薬司は、律令制のもとで皇室専用の医療機関として重要な役割を果たしていました。内部に多様な職員を持ち、医療サービスだけでなく、薬の管理や育成に至るまで、多面的な活動を展開していました。徳川時代と異なり、当時の日本においては皇室に特化した医療措置が不可欠であり、その中で内薬司は欠かせない存在であったと言えます。

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