内藤朝雄

内藤朝雄（ないとう あさお）は、1962年生まれの日本の社会学者です。明治大学文学部准教授として、社会学、臨床社会学、心理社会学を専門としています。特に、いじめ問題や管理教育問題に関する研究で広く知られています。

生い立ちと学歴

東京都出身の内藤氏は、愛知県立東郷高等学校在学中に、同校で実施されていた厳しい管理教育を経験し、中退しています。この経験が、後の研究における重要な視点となっています。その後、通信制高校を経て山形大学に進学し、1986年に人文学部文学科哲学専攻を卒業しました。さらに、東京大学に進み、1994年に文学部社会学専修課程を卒業、1996年には大学院総合文化研究科（相関社会科学専攻）修士課程を修了しました。2001年には、同研究科国際社会科学専攻相関社会科学コースの博士課程を単位取得退学しています。

職歴

大学院修了後、国立療養所千葉東病院（現国立病院機構千葉東病院）附属看護専門学校の非常勤講師を務め、その後、明治大学の専任講師を経て、2007年に准教授に昇格しました。また、東京大学大学院教育学研究科、京都大学大学院教育学研究科、立教大学、大阪大学で非常勤講師も務めました。

研究活動

内藤氏の研究は、いじめ問題と管理教育問題に焦点を当てています。共著『「ニート」って言うな！』では、メディアによる「ニート」に対する憎悪のメカニズムを批判的に考察し、大衆の憎悪の標的となる危険性を指摘しました。

2001年に発表した著書『いじめの社会理論』を皮切りに、いじめに関する研究をライフワークとしています。2007年には、自伝的内容も盛り込んだ『〈いじめ学〉の時代』を上梓し、自身のいじめ理論を体系的に展開しました。

いじめ研究

内藤氏のいじめ研究の大きな特徴は、いじめを心理と社会の接合面から捉え、その発生から蔓延に至るメカニズムを詳細に分析している点です。特に『いじめの社会理論』で提示された理論は、橋爪大三郎氏らによって、学校共同体の病理を捉え、新しいいじめの特質や集団力学の構造を明らかにしたと評価されています。また、スクールカースト（クラス序列）の研究者としても知られています。

発言

内藤氏は、社会における「ニート」の存在について、過去にも様々な形で存在していたと指摘しています。また、仏陀やイエスもまた、既存の価値観から見れば「ニート」のような存在であったという独自の視点を提示し、社会における多様な生き方を認めるべきだと主張しています。

著書

単著

『いじめの社会理論―その生態学的秩序の生成と解体』柏書房、2001年
『いじめと現代社会―「暴力と憎悪」から「自由ときずな」へ』双風舎、2007年
『〈いじめ学〉の時代』柏書房、2007年
『いじめの構造―なぜ人が怪物になるのか』講談社現代新書、2009年
『いじめ加害者を厳罰にせよ』ベスト新書、2012年

共著

（宮台真司・藤井誠二）『学校が自由になる日』雲母書房、2002年
* （本田由紀・後藤和智）『「ニート」って言うな!』光文社新書、2006年

内藤朝雄の研究は、いじめ問題の複雑さを理解し、より良い社会を築く上で重要な示唆を与えています。自身の経験を踏まえ、社会の構造的な問題に鋭く切り込む姿勢は、多くの人々に影響を与え続けています。

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