内藤興盛

内藤興盛（ないとうおきもり）：大内氏を支えた文武の要

内藤興盛は、戦国時代の武将であり、守護大名大内氏の重臣として知られています。大内義興、義隆の二代に仕え、約半世紀にわたり長門国守護代、評定衆などの重職を歴任し、大内氏を支え続けました。

生涯：大内氏の文武を支える

興盛は、伯父である内藤弘矩の死後、義興の意向により父である弘春が家督を継承したことで、内藤氏の当主となりました。義興に仕え、宿老として長門守護代を務め、義興の上洛にも参陣しています。義興の死後は、子である大内義隆に仕え、その時代には家中随一の大身の重臣として重きをなしました。

評定衆としても活躍し、天文9年（1540年）の吉田郡山城の戦いには、陶隆房（晴賢）らと共に援軍として派遣されました。また、同11年（1542年）の月山富田城の戦いにも出陣し、菅谷口攻めを担当しましたが、毛利元就らの抵抗により攻略はできませんでした。

大寧寺の変：主君への反逆と隠居

月山富田城の戦いでの敗北後、義隆が軍事・政治への関心を失うと、興盛との関係は冷却化しました。文治派と武断派の対立が深まる中、興盛は義隆の嫡子である義尊に家督を譲り隠居するよう勧めるも、拒否されています。

天文20年（1551年）の陶隆房の謀反（大寧寺の変）の際には、消極的に隆房を支持し、義隆からの和睦の仲介要請を拒否しました。その直後に隠居していますが、その背景には、大内氏の継承を巡る陶隆房との意見の相違があったとも言われています。嫡子の隆時は既に亡くなっていたため、家督は嫡孫の隆世が継ぎました。天文23年（1554年）に死去。

死後：内藤氏の分裂と毛利氏との繋がり

興盛の死後、娘の嫁ぎ先である毛利氏と、孫娘の嫁ぎ先である陶氏との対立が鮮明となり、内藤氏一族は、義兄である陶晴賢を支持する嫡孫・隆世派と、娘婿である毛利隆元とその父である元就を支持する5男・隆春派に分裂しました。その結果、興盛の死んだ翌天文24年（1555年）の厳島の戦いを機に一族が分裂することとなります。

墓所は山口県山口市の善生寺にあり、同寺には肖像画も残されています。興盛の血筋は毛利氏家臣として存続し、毛利隆元の正室である尾崎局より生まれた外孫が毛利輝元として毛利氏を相続したことで、血筋は毛利家の外戚としても伝わっています。

逸話：文化人としての側面とザビエルの庇護

興盛は、武将・重臣としてだけでなく、文化人、教養人としても大内家中からの信望が厚かったと言われています。近衛尚通に源氏物語の外題を請うたこともあり、大内氏臣下の意見を当主に取り次ぐ役回りを務めるなど、温厚な人柄で人望を集めました。一方で、大寧寺の変の際には義隆からの助命の要請を拒絶しており、乱世の厳しい主従関係がうかがえます。

また、興盛自身は熱心な仏教徒であったと言われていますが、フランシスコ・ザビエルが天文19年（1550年）と翌20年（1551年）にキリスト教布教のため山口を訪れた際には、ザビエルらを屋敷によく招き、尽力して2度ともザビエルと義隆の面会を実現させました。さらに大寧寺の変の時にはザビエル一行を自邸に保護するなど、ザビエルの庇護者としても知られています。

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