内閣 (タイ)

タイの内閣：最高行政機関の詳細

タイの内閣（คณะรัฐมนตรีไทย）は、タイ王国の行政を司る最高機関です。首相を長とし、国務大臣によって構成されます。内閣は、タイ政府やタイ王国政府として広く知られています。

内閣の構成

内閣は、首相が指名し、国王が承認した国務大臣で構成されます。各大臣はそれぞれの省庁の長となり、内閣全体を統括するのは首相の役割です。

歴史的背景

タイの行政組織は、アユタヤ王朝時代から存在していました。当時はグロム（局）やセーナーボディー（局長）と呼ばれる官僚組織が王の統治を支えていました。近代的な行政組織が整備されたのは、ラーマ5世のチャクリー改革によるものです。

1874年、ラーマ5世は枢密院を設立し、初めて議会を通して王権が行使されるようになりました。内務省、国防省など6省が最初に設置され、その後、外務省など4省が追加されました。

1925年には、ラーマ7世が最高顧問会議を設置しましたが、1932年の立憲革命により解散。暫定憲法のもと人民委員会が設立され、後に内閣へと改称されました。初代首相にはプラヤー・マノーパコーンニティターダーが就任しました。

閣僚の資格と要件

2007年タイ王国憲法では、内閣の閣僚は35名以内と定められています。首相以外の閣僚は、必ずしも国民議会議員である必要はありませんが、実際には議員である場合が多いです。

閣僚に任命されるためには、以下の条件を満たす必要があります。

タイ国民であること
35歳以上であること
学士以上の学歴を持っていること
上院議員でないこと（元上院議員は2年間許可されない）

また、薬物中毒者、破産者、僧侶、公民権剥奪者、精神衰弱者、有罪判決を受けた者、公務員、立法府関係者などは閣僚になることができません。

内閣は20省しか存在しないため、憲法で定められた35名の閣僚をすべて大臣にすることはできません。残りの閣僚は副首相や副大臣に任命されます。内閣は、発足後15日以内に議会で所信表明を行う必要があります。

閣僚は自身の行動や担当省庁の行動に対して責任を負い、議会で説明する義務があります。議会は大臣を喚問し、罷免を要求することもできます。罷免には、議会の5分の1の賛成による罷免案の提出、または首相の助言による国王の罷免が必要です。

内閣の機能

内閣は行政の最高機関として、行政、機関、省庁の運営に責任を持ちます。また、政策の策定や統治にも責任を負います。内閣は議会に法案を提出することができ、閣僚は議会に出席する権利を持ちます。

内閣には集団責任があり、閣僚は閣議の決定を支持する義務があります。これにより、政府運営に問題が生じた場合、閣僚全員が責任を負うことになります。

また、野党は影の内閣を組織することが認められています。

現行の行政機関

タイの行政機構は、2002年の省庁再編を経て、1府19省によって構成されています。内閣は、首相1名と35名以内の国務大臣で構成されます。

府省庁

各府省庁は以下の通りです。

(各府省庁名を記載、省略)

省庁に属さない政府機関

国王官房
宮内庁
王室財産管理局
国家仏教事務所
王室プロジェクト調整特別委員会事務所
タイ国家研究評議会事務所
タイ学士院
タイ王国国家警察庁
マネーロンダリング防止取締事務所
最高検察庁

監視機関

国家選挙委員会
国会オンブズマン
国家人権委員会
会計監査委員会
国家経済社会諮問会議

関連法制

『仏暦2550年（西暦2007年）タイ王国憲法』
『仏暦2545年省庁局再編法』

参考資料

玉田・船津編『タイ政治・行政の変革1991-2006年』研究双書 No.568 IDE-JETRO, 2008

外部リンク

* タイ政府公式サイト



この詳細な解説を通じて、タイの内閣に関する理解を深めていただければ幸いです。

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