内閣文庫

内閣文庫：歴史を物語る貴重なコレクション

内閣文庫は、明治時代に政府によって収集・管理された蔵書群を起源とする、貴重な文化遺産です。かつては独立した組織として存在していましたが、現在は国立公文書館の一部として、その名とコレクションが保存されています。約49万冊に及ぶ蔵書は、日本の歴史、文化、学術研究において重要な役割を果たしています。

沿革：政府図書館から国立公文書館へ

内閣文庫の起源は、1873年に太政官に設置された図書掛に遡ります。1884年には太政官文庫が設立され、政府所有の図書を一元的に管理する機関として機能しました。太政官文庫は、旧幕府から引き継いだ紅葉山文庫本をはじめとする貴重な図書を収蔵し、一大コレクションとしての性格を帯びるようになりました。

1885年の内閣制度発足に伴い、太政官文庫は内閣文庫と改称されました。その後、書庫の移転を経て、1911年には皇居大手門内に書庫が新築されました。政府の中央参考図書館としての利用は後退しましたが、一般の研究者にも閲覧が許可されるようになり、学術研究図書館としての性格を強めていきました。

戦後、内閣文庫は総理府の管轄となり、1948年には国立国会図書館の支部図書館となりました。1971年には国立公文書館の発足に伴い、同館の一課となり、2001年には独立行政法人国立公文書館に移管されました。組織再編により、内閣文庫は組織名としては消滅しましたが、コレクションの名前としてその存在は引き継がれています。

コレクションの概要：和漢書から洋書、古文書まで

内閣文庫のコレクションは約49万冊に及び、和書、漢籍、洋書、古文書など多岐にわたります。和漢書は、紅葉山文庫本を中心に、歴史・文学に関する図書が豊富です。洋書は、近代化政策の参考資料として収集されたもので、法律、政治などの社会科学書が中心です。古文書には、旧幕府の記録類や、明治期以降に収集された公家・武家文書などが含まれています。

これらの貴重な資料の中には、重要文化財に指定されているものも数多く存在します。国立公文書館では、デジタルアーカイブの構築を進めており、内閣文庫の和書漢籍約43万冊の目録情報をインターネット上で検索できます。また、重要文化財などの高画質画像も公開されています。

旧内閣文庫庁舎：明治建築の面影

1911年から1971年まで内閣文庫が使用していた庁舎は、現在、博物館明治村に移築・保存されています。ルネサンス様式の意匠を持つ美しい建物は、明治時代の建築様式を今に伝える貴重な文化財です。

内閣文庫は、日本の歴史と文化を伝える貴重なコレクションです。国立公文書館のデジタルアーカイブを通じて、その一部をオンラインで閲覧することも可能です。ぜひ、内閣文庫の豊かな世界に触れてみてください。

参考文献

国立公文書館（編）『内閣文庫百年史』国立公文書館、1985年。
日本図書館協会（編）『近代日本図書館の歩み 本編』日本図書館協会、1993年。
石井研堂「千代田文庫」『明治事物起原』第七、橋南堂、1908年

外部リンク

国立公文書館
国立公文書館デジタルアーカイブ
内閣文庫（博物館明治村ホームページ）

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