円通寺 (京都市左京区)

圓通寺

圓通寺は、京都市左京区岩倉幡枝町に位置する臨済宗妙心寺派の寺院です。山号を大悲山と称し、本尊には聖観音を祀っています。特に、国の名勝にも指定されている圓通寺庭園は、その美しい景観で広く知られています。

歴史

圓通寺の始まりは、寛永16年（1639年）に後水尾天皇が造営した幡枝離宮（幡枝御殿、幡枝山荘）に遡ります。この離宮には、現在も残る枯山水庭園が造られました。その後、修学院離宮の造営に伴い、幡枝離宮は近衛家に譲渡されました。

延宝6年（1678年）、霊元天皇の乳母であった圓光院文英尼が開基となり、臨済宗妙心寺派の禅寺として新たに歩み始めます。妙心寺10世の景川宗隆が勧請開山として迎えられ、後水尾上皇より「圓通」の勅額を賜りました。延宝8年（1680年）には、皇室の勅願所となっています。

庭園

圓通寺庭園は、枯山水式の庭園として国の名勝に指定されています。庭園は苔を主体とし、刈込みと石が巧みに配置されています。大小40余りの庭石は、後水尾上皇自らが配置したと伝えられています。また、刈込みと立木の背後に望む比叡山を借景としている点が大きな特徴です。客殿の奥から庭を眺めると、まるで額縁に入った絵画のように見えることから、「額縁庭園」とも呼ばれています。後水尾上皇は、比叡山の眺望が最も優れている地を求めてこの幡枝に山荘を設けたとされています。春には皐月、秋には紅葉が庭園を彩り、四季折々の美しい景観を楽しむことができます。

特に、圓通寺庭園は借景の美しさで名高く、その価値が認められています。しかし近年、高層マンション建築などの都市開発が進み、貴重な借景が損なわれる可能性が懸念されるようになりました。そこで、京都市は円通寺庭園などの借景を保護するため、眺望条例（京都市眺望景観創生条例）を制定しました。これにより、円通寺は同条例の対象地となり、周辺区域では建物の高さだけでなく、屋根の形式なども制限されるようになりました。

境内

方丈 - 本堂。本尊の聖観音は伝・定朝作とされています。
客殿（御幸御殿） - 東福門院御所から移築されたものです。
庭園 - 枯山水庭園。既述の通り、国の名勝に指定されています。
庫裏
観音堂（潮音堂） - 不空羂索観音を祀っています。
鐘楼
池
弁天堂
山門「天寿洞」 - 2015年（平成27年）に再建されました。

文化財

重要文化財: 霊元天皇宸翰消息
国指定名勝: 円通寺庭園

所在地

京都府京都市左京区岩倉幡枝町389

アクセス

鉄道
叡山電車鞍馬線 京都精華大前駅下車徒歩25分
京都市営地下鉄烏丸線「北山駅」下車徒歩約30分（途中に急坂の峠があります）
バス
地下鉄「国際会館駅」又は「北大路駅」から京都バス45・46系統（1時間に1本程度）「自動車教習所前」（「幡枝くるすの公園前」バス停よりも少し近い）下車徒歩10分。
地下鉄「国際会館駅」から京都バス48・特40系統「西幡枝（円通寺前）」下車徒歩3分。

関連項目

修学院離宮 - 後水尾上皇が築庭。同様に比叡山を借景としています。

外部リンク

円通寺庭園 - 国指定文化財等データベース（文化庁）
京都市左京区 | 勅願所 圓通寺 | 寺院
* 公式Instagram

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