冷泉持為

冷泉持為：室町時代の歌人、公卿の生涯

冷泉持為(れいぜいもちため)は、15世紀の室町時代中期に活躍した公卿であり、優れた歌人としても知られています。権大納言という高位に上り詰めた彼の生涯は、栄華と苦難、そして歌への情熱に彩られたものでした。

華麗なる出自と帝、将軍からの寵愛

冷泉持為は、権大納言を務めた冷泉為尹の子として、応永8年(1401年)に誕生しました。幼少期から優れた才能を発揮し、後小松天皇と4代将軍・足利義持からの寵愛を受けました。「持」の偏諱を与えられ、持和と名乗ったのち、後に持為と改名しています。このことは、当時の彼の高い地位と才能を物語っています。

足利義教との対立と政治的苦難

順調に昇進を重ね、応永29年(1422年)には正五位下、永享元年(1429年)には従四位下に叙せられました。しかし、6代将軍・足利義教とは折り合いが悪く、後小松院の崩御後、永享6年(1434年)に出仕を停止されてしまいます。これは、持為にとって大きな政治的挫折となりました。その後、嘉吉元年(1441年)に義教が暗殺されると、持為は朝廷に復帰。翌嘉吉2年(1442年)には従四位上に叙せられ、再び政治の中枢へと戻っていきました。

公卿として、そして歌人として

文安5年(1448年)には従三位に叙せられ、ついに公卿の地位に上り詰めました。その後、参議、侍従、播磨権守などを歴任し、宝徳3年(1451年)には権中納言に任ぜられます。しかし、宝徳4年(1452年)には権中納言を辞任し、治部卿に転じます。これは、彼が政治の中枢で権力闘争に巻き込まれることを避けようとした可能性も示唆しています。

持為は優れた歌人としても知られており、一条兼良や木戸孝範、中原康富といった著名な歌人たちを門下に持つなど、歌壇でも重要な役割を果たしました。多くの歌合に参加し、その才能を遺憾なく発揮しました。代表的な歌集として『持為卿詠草』、『為富集』があり、これらの作品は、彼の豊かな感性と洗練された表現力を後世に伝えています。また、『古今和歌集解』、『古今和歌集抄』といった著作も残しており、和歌の研究者としても貢献しました。

病と死、そして子孫

享徳3年(1454年)8月、持為は病に倒れ、権大納言に任ぜられますが、翌日に出家。そして、9月1日、54歳でこの世を去りました。

持為の子には、冷泉政為（足利義政の偏諱を受けた）がいます。冷泉政為は、父と同じく公家として活躍し、冷泉家の家系はその後も続きました。

まとめ

冷泉持為は、室町時代中期を代表する公卿であり、同時に優れた歌人でした。帝や将軍からの寵愛、足利義教との対立、そして歌人としての華麗な活躍など、波瀾に満ちた生涯を送りました。彼の作品や経歴は、現代においても研究され、室町時代の文化や政治を知る上で貴重な資料となっています。彼の歌集や著作は、日本の古典文学の宝として、現在も人々に読み継がれています。

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