出津教会堂

出津教会堂：信仰と歴史が息づく場所

長崎県長崎市西出津町にある出津教会堂は、カトリック教会の教会堂（聖堂）として、その美しい姿と深い歴史で人々を魅了しています。この教会堂は、単なる宗教施設ではなく、地域の人々の信仰と生活、そして歴史的背景を今に伝える重要な文化遺産です。

建築の特徴

1882年（明治15年）に主任司祭マルク・マリー・ド・ロ神父の設計により建設された出津教会堂は、角力灘（五島灘）に面した風の強い土地柄を考慮した設計が特徴です。レンガ造の平屋建てで、外壁には白い漆喰が塗られています。低い屋根は、風雨から建物を守るための工夫であり、地域の気候風土に合わせた建築様式と言えるでしょう。

教会堂は、奥行き36.3メートル、間口10.9メートルの長方形で、内部は三廊式となっています。正面入口には大きなアーチが設けられ、両脇には小さなアーチが配置されています。安山岩の切石が要所に貼られ、建物の美しさを際立たせています。正面入口屋根の上には鐘楼が立ち、その頂上には聖母マリア像が飾られています。また、東側の屋根には小さな塔があり、その頂上には十字架が掲げられています。

歴史的背景

出津教会堂は、信徒数の増加に伴い、ド・ロ神父の設計により二度の増築が行われ、1909年（明治42年）にほぼ現在の姿となりました。この教会堂は、地域の信仰の中心として、多くの人々の心の拠り所となってきました。

1972年（昭和47年）には長崎県の有形文化財に指定され、その後、1996年から1997年にかけて大規模な修復が行われました。信徒たちの献金と県や外海町の助成金により、約1億6000万円が投じられ、その美しい姿が守られてきました。

2011年（平成23年）には、国から重要文化財に指定され、その価値が改めて認められました。さらに、2018年（平成30年）には、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一つとして、ユネスコの世界遺産に登録されました。この世界遺産登録は、出津教会堂だけでなく、周辺の集落も含む包括的なもので、この地域が禁教期を象徴する場所であることを示しています。

アクセスとその他

出津教会堂へのアクセスは、さいかい交通のバスを利用し、「出津」または「出津文化村」バス停で下車後、徒歩約7分です。長崎市中心部からは車で約45分の距離にあります。

拝観には事前予約が必要ですので、訪れる際には注意が必要です。この教会堂は、多くの映画やドラマのロケ地としても利用されており、その美しい風景は多くの人々に感動を与えています。

関連人物と文化

出津教会堂は、マルク・マリー・ド・ロ神父によって設計されました。また、この小教区からは、里脇浅次郎と田口芳五郎という二人のカトリック枢機卿が輩出されています。この地域は、信仰だけでなく、地域文化の発展にも貢献してきたと言えるでしょう。

出津教会堂は、単なる歴史的建造物ではなく、人々の信仰と歴史、そして文化が深く結びついた場所です。この教会堂を訪れることで、私たちは過去の歴史に触れ、その重みを感じることができるでしょう。


関連情報

カトリック長崎大司教区
マルク・マリー・ド・ロ
大野教会堂 - 当小教区内にあるド・ロが手掛けた教会堂。
里脇浅次郎 - 当教会小教区内出身のカトリック枢機卿。
田口芳五郎 - 当教会小教区内出身のカトリック枢機卿。
解夏 - 映画版のロケ地の一つになった。
* 出津教会堂 長崎旅ネット

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