出湯温泉

新潟県阿賀野市の静寂に包まれた古湯、出湯温泉

出湯温泉は、新潟県阿賀野市（旧越後国）に位置する歴史深い温泉です。五頭連峰の西麓に湧き、五頭温泉郷を構成する今板温泉、村杉温泉とともに、豊かな自然に囲まれた静かな温泉地として知られています。五頭連峰県立自然公園（日本森林浴100選にも選ばれている）に属し、周辺には白鳥飛来地として有名な瓢湖や、登山客に人気の五頭山、森林浴やキャンプを楽しめる県民いこいの森、ゴルフ場など、様々な観光スポットが点在しています。

効能豊かな単純弱放射能冷鉱泉

出湯温泉の泉質は単純弱放射能冷鉱泉（ラジウム温泉）で、源泉温度は18.1度と低めです。この温泉はアトピー性皮膚炎に効果があるとされ、全国的に知られています。そのため、治療を目的に訪れ、そのまま定住する人も少なくありません。

華報寺を中心とした温泉街

五頭山の山麓に広がる温泉街は、その独特の地形が特徴です。温泉街の入口を抜けると、まず目に入るのは華報寺。出湯温泉は、この華報寺を中心として形成されているのです。江戸時代から昭和時代にかけて、多くの参拝客や湯治客が訪れたため、華報寺への参道は、中心部に追い越し禁止線が設けられた県道となっています。

温泉街には5軒の宿泊施設があり、共同浴場も2軒あります。「出湯共同浴場」と「華報寺共同浴場」（正式名称は「漲泉窟」）です。さらに、「出湯共同浴場」の隣には、露天風呂のみの共同浴場も存在します。かつて、TV番組の温泉興し企画で村杉温泉とともに作られた露天風呂もありましたが、2002年の開設から2006年10月に閉鎖されています。

809年開湯、歴史と伝説に彩られた温泉

出湯温泉の開湯は809年と伝えられています。弘法大師空海が開湯したという伝説も残り、新潟県内最古の温泉としてその歴史は深く、鎌倉時代には幕府に温泉税を納めていた記録もあります。江戸時代の温泉番付「諸国温泉功能鑑」にも「越後出湯の泉」として掲載されています。

「漲泉窟」は江戸時代、徳川幕府の直轄領「天領」でしたが、幕府の終わりとともに国から払い下げられ、源泉周辺の7軒の家々が「七軒衆」という組織を結成し、源泉の管理を引き継ぎました。現在では、七軒衆の中で最も公共性が高いとされた華報寺が代表として管理を行い、七軒衆が温泉業を営む権利を保持しています。

考古学的調査によると、縄文時代の土器が出土しており、有史以前から温泉が存在し、原住民が生活していた可能性も示唆されています。奈良時代には行基菩薩が来訪し、海満寺（現在の華報寺）が創立されたと伝えられています。平安時代には弘法大師空海も訪れ、五頭山を開山したとされています。鎌倉時代以降も、様々な歴史的出来事や人物と関わりを持ちながら、出湯温泉は発展を遂げてきました。

アクセス方法

出湯温泉へのアクセスは、公共交通機関と自家用車があります。公共交通機関では、羽越本線水原駅から阿賀野市営バスを利用し、約20分で「出湯温泉」バス停に到着します。また、新宿や池袋からの直行バス（特定日運行）や、新潟空港からの送迎バスも利用可能です。自家用車の場合は、共同の無料駐車場が利用できます。五頭温泉郷内での移動や、周辺観光地へのアクセスにはレンタカーも便利です。

参考文献

五頭温泉郷旅館協同組合
出湯温泉（五頭温泉郷） - 新潟県観光協会
阿賀野市観光協会 五頭温泉郷ガイドブック
五頭温泉郷ウォーキングガイド - 阿賀野市観光協会

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