出羽ノ花國市

出羽ノ花 國市の生涯

出羽ノ花 國市（でわのはな くにいち）は、1909年3月1日に東京都江東区で生まれ、石川県小松市で育った大相撲力士である。本名は市川 國一（いちかわ くにいち）であり、出羽海部屋に所属し、現役時代から様々な活躍を見せた。

現役時代の経歴

出羽ノ花は9歳の時に60kgに達する体重を誇り、怪童と称されていた。実家の経営する肥料会社の関係で出羽海部屋に紹介された彼は、若いころから相撲に親しんでいた。1925年に「出羽ノ子」として初土俵を踏み、1930年には十両昇進を果たす。しかし、1932年の春秋園事件により一度幕下に降格し、その後新入幕を実現した際に四股名を「出羽ノ花」と改名した。彼は健康を害して腸チフスに罹り、数場所を休場することとなった。

出羽ノ花は再入幕後も上位陣に相手にされず、1940年には大怪我を負い、これが理由で現役を引退することとなる。彼は相撲界における一時期の活躍は限られていたが、その後の親方としての道で真価を発揮することになる。

親方としての道と経済的貢献

出羽ノ花は現役引退後に年寄・武藏川を襲名し、武藏川喜偉として協会経営に尽力した。彼は特に経済学の知識を活かし、相撲協会の財政改善に貢献した。終戦後、接収された両国国技館を使用できない間に自宅を担保にして資金を調達し、蔵前仮設国技館を建設するなど、経済的に厳しい時代においてサポートを行った。

1949年、仮設国技館を建設し、GHQの取り壊し命令に対して巧妙に行動し、この期に鉄筋鉄骨の新しい国技館を実現することに成功した。彼の経済的な知恵とリーダーシップは相撲協会の財務を大きく支え、非常に重要な役割を果たした。

国際化と理事長就任

出羽ノ花は1965年には初の海外公演を成功に導き、相撲の国際化を推進した。1968年、相撲協会の理事長に就任すると、協会を近代化させるべく様々な改革に取り組む。勝負判定にビデオ映像の導入や、中学校卒業前の入門禁止を施策に上げ、少しずつ文化としての相撲界の基盤を固めていった。

九重独立問題と協会運営

九重独立問題が起こると、出羽ノ花はその苦渋の決断を迫られたが、最終的に九重部屋の独立を許可することとなる。この影響は後の協会内での力の均衡にも影響を及ぼし、彼のリーダーシップは高く評価された。

最後の日々と死去

彼は1974年に理事長を退任し、その後も相談役として相撲界に貢献した。1987年には78歳で逝去し、功績を称えられ日本相撲協会によって協会葬が執り行われた。出羽ノ花國市は、力士としてだけでなく、相撲界の運営者としても大きな影響を持った人物であり、彼の貢献は現代の大相撲界にも引き継がれている。

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