出羽弁

出羽弁（でわのべん、生年不詳 - 没年不詳）は、平安時代中期に活躍した女流歌人です。父は出羽守平季信、または加賀守平秀信であると伝えられています。

彼女は、一条天皇の中宮である藤原彰子（上東門院）、その妹で後一条天皇の中宮となった藤原威子、そして威子の娘である章子内親王という、皇室に近い高貴な女性たちに仕えました。特に、藤原彰子に長く仕え、その周辺で歌人としての才能を発揮しました。

歌人としての活動は、長元6年（1033年）に源倫子の70歳の祝賀で屏風歌を詠んだことや、数々の歌合でその才能を披露したことが記録に残っています。彼女の歌は、『後拾遺和歌集』をはじめとする多くの勅撰和歌集に収録されており、その作品は後世にまで伝えられています。また、家集として「出羽弁集」があり、彼女の歌風を知ることができます。

また、彼女は歌人としてだけでなく、物語作者としての顔も持っていたと考えられています。『栄花物語』の続編である巻31から巻37は、出羽弁の作品であるという説があります。さらに、『六条斎院禖子内親王家物語合』には、物語『あらば逢ふ夜の』の作者として出羽弁の名が記されており、物語創作にも関わっていた可能性が示唆されています。

このように出羽弁は、歌人として、そして物語作者として、平安時代の文学に大きな足跡を残した女性です。彼女の作品は、当時の宮廷社会や女性の生活、感情を現代に伝える貴重な資料となっています。彼女の生涯については不明な点が多いですが、その作品は今もなお多くの人々を魅了し続けています。

彼女の正確な生没年は不明ですが、11世紀前半にはその名前が確認できることから、この頃に活躍していたと考えられます。

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