出羽湊秀一

出羽湊 秀一（でわみなと しゅういち）

青森県中津軽郡岩木町（現在の弘前市）出身の昭和期の大相撲力士。本名は川田 秀一。出羽海部屋に所属し、最高位は東前頭筆頭まで昇進しました。現役時代の体格は身長177cm、体重98kgと、当時としても特別大型ではありませんでしたが、得意の突っ張り、右四つからの寄り、さらには意表を突く蹴手繰りなど、多彩な技を駆使して幕内上位で活躍しました。

経歴

1923年4月24日に生まれ、17歳となった1940年5月場所で初土俵を踏み、角界入りを果たしました。順調に昇進を目指していましたが、幕下に昇進したところで兵役のために一時角界を離れることとなりました。この中断が響き、十両昇進は1949年5月場所と、初土俵から約9年もの歳月を要しました。新入幕を果たした1953年5月場所には、すでに30歳を迎えていました。しかし、遅咲きながらも幕内での活躍は目覚ましく、そこから1956年11月場所まで実に20場所連続で幕内の地位を維持しました。

この間、特に印象的なのは、上位陣からの白星です。1955年9月場所では大関大内山を、翌1956年3月場所では大関松登をそれぞれ破り、二度にわたって殊勲の星を挙げる活躍を見せました。小柄な体格ながらも、長年の下積みを経て培われた粘り強さと、得意技を活かした相撲で多くのファンを魅了しました。また、入門から十両昇進にかけての時期には、本名の川田から出羽龍、岩木山、出羽港、そして最終的な四股名である出羽湊へと、短期間に四股名を頻繁に変更したユニークな経歴も持っています。

引退後

1958年9月場所限りで土俵を去り、現役を引退しました。引退後は年寄藤島を襲名し、所属していた出羽海部屋付きの親方として、後進の指導に当たりました。また、日本相撲協会の運営にも携わり、特に勝負審判として長年にわたり土俵下から公平な判定を下す役割を担いました。協会の発展にも貢献しましたが、1979年9月16日、膀胱腫瘍のため東京都内の病院で逝去。56歳でした。その生涯は、兵役による中断を乗り越え、遅咲きながらも幕内で実力を発揮し、引退後も協会の要職を務めた、苦労と功績に満ちたものでした。

主な成績・記録

通算成績：310勝306敗25休 勝率.503
幕内成績：135勝148敗17休 勝率.477
現役在位：49場所
幕内在位：20場所
各段優勝：十両優勝1回（1953年3月場所）
最高位：東前頭筆頭（1956年5月場所）

四股名の変遷

川田 秀一（かわだ しゅういち）1941年1月場所 - 1948年5月場所
出羽龍 秀一（でわりゅう -）1948年10月場所
岩木山 秀一（いわきやま -）1949年1月場所
出羽港 秀一（でわみなと -）1949年5月場所
出羽湊 秀一（でわみなと -）1949年10月場所 - 1958年9月場所（引退）

年寄名の変遷

藤島 秀一（ふじしま しゅういち）1958年9月 - 1979年9月（死去）

もう一度検索