出雲国山代郷遺跡群

出雲国山代郷遺跡群

出雲国山代郷遺跡群は、島根県松江市の大庭町、山代町、矢田町に位置し、古代出雲国意宇郡の重要な遺跡群です。この遺跡群は、古代の正倉や寺院跡を含み、多くの歴史的価値を持っています。

1980年に「出雲国山代郷正倉跡」として国の史跡に指定され、その後の調査によって北側の来美廃寺が『出雲国風土記』に登場する北新造院の跡と認定された結果、2002年にその名称は「出雲国山代郷遺跡群 正倉跡 北新造院跡」へと変更されました。さらに、南新造院跡や南新造院瓦窯跡についても追加指定が進められており、官報告示を経て正式に指定される予定です。また、遺跡群は八雲立つ風土記の丘の一部として整備・保護されています。

正倉跡

正倉跡は、出雲国意宇郡の山代郷に存在した正倉の跡であり、掘立柱建物群の遺構が発見されています。1978年に始まった発掘調査により、この地域が飛鳥時代以降の律令期に使用された大規模な正倉跡であることが確認されました。遺構は東西に100メートル、南北に150メートルを超え、中央部には掘立柱建物が存在し、これは管理施設跡と考えられています。

東端部分には、4間×3間の総柱建物が3棟南北に均等に配置されています。また、倉庫群は約30メートル西側や中央部を挟んだ西側にも複数確認され、全体で26棟の建物と、3条の柵列、5条の溝状遺構、2か所の土坑が見つかっています。これら一連の遺構は、この地がかつて重要な物資の集積地であったことを示しています。

北新造院跡

北新造院跡は、来美廃寺として知られ、以前から、出雲国風土記の記述に基づいて現地の豪族、日置君目烈によって建立されたとされる「新造院」に特定されていました。しかし、実際の本格的な調査が行われたのは1996年のことです。調査結果では、金堂およびその本尊と考えられる三尊仏の跡が確認され、さらに金堂を囲む伽藍の痕跡も見つかりました。この寺院は7世紀末から11世紀末にかけて存在し、火災で廃寺になるまで活動していたとされています。

『出雲国風土記』に記されている「新造院」の跡であることが確定したことにより、2002年には国の史跡として追加指定されました。また、同じく出雲国風土記に記載される出雲臣弟山によって建立された「新造院」跡は、現在「南新造院」と呼ばれており、こちらは正倉跡の東側に位置し、島根県指定の史跡となっています。

そのため、出雲国山代郷遺跡群は、古代出雲の文化や宗教、建築様式を知る上で非常に貴重な存在であり、研究や観光の対象となっています。

もう一度検索