出雲国風土記

出雲国風土記

『出雲国風土記』は、713年に元明天皇の命で編纂が開始され、733年に完成した出雲国に関する風土記です。元々、出雲国の国司が出雲国庁において、出雲臣果安という人物に編纂を依頼しました。その後、出雲国造の出雲臣広島の監修のもとで、神宅臣金太理という人物が実際の執筆を行いました。現存する風土記の中でほぼ完全な形で残っているのは、この『出雲国風土記』だけです。

風土記の構成

この風土記は、総記や各郡の詳細に分かれており、総記では出雲国の全体像が説明されています。郡ごとの記述では、意宇、島根、秋鹿、楯縫、出雲、神門、飯石、仁多、大原の各郡の詳細な情報が含まれています。各地域の神社リストもあり、神祇官に登録された神社と未登録のものが区別されています。また、地形の記述にはその地域の特産品なども記載されています。

各郡の概要

• - 意宇郡：さまざまな郷里や駅、寺院、神社の情報が豊富です。特に、48所の在神祇官社と19所の不在神祇官社が記されています。

• - 島根郡：独自の地名や郷里が多様で、14所の在神祇官社と非常に多くの不在神祇官社があります。

• - 秋鹿郡：ここでも神社の情報が集約されていて、郷里や神社の数に特徴があります。

• - 楯縫郡：特有な社や神社の情報が記載されているほか、特産物も紹介されています。

• - 出雲郡および神門郡では、地名、神社、通路等、地域の詳細な情報が網羅的に掲載されています。

主な神話や伝説

『出雲国風土記』には、神話が数多く収められています。特に有名なものには「国引き神話」があり、これは出雲国の形成にまつわる物語です。この風土記によって出雲独自の神話体系が形成されたことが伺えます。その他にも、地名に由来する多くの説話があり、地元の神々や伝承が記録されています。

特に目を引くものは、スサノヲにまつわる伝説や、出雲の神々の系譜が描かれている点です。これにより、出雲の文化や神話的背景に名の知られた神々が数多く登場します。

写本と研究の歴史

『出雲国風土記』は、青木家、細川家、徳川家などに所蔵されたさまざまな写本が存在し、それぞれが地域の歴史的背景を築く手助けをしています。特に、1597年に書写された「細川家本」が最古とされ、その後も数多くの写本が作られました。江戸時代からすでに数々の研究が行われており、多くの注釈書や解説書が出版されています。

これにより、出雲国風土記は日本の歴史と文化を知るための貴重な資料として位置づけられています。古くから受け継がれたこの文献は、今なお新たな観点からの研究が進められ、多くの人々にとって出雲の神話や歴史を感じさせる基盤となっています。

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