出雲郡

出雲の歴史



出雲(いずもぐん、しゅっとうぐん)は、かつて島根県出雲国)に存在したです。その領域は、現在の出雲市の一部、主に斐川町周辺にあたります。

古代の出雲



7世紀、評制が敷かれた際に「出雲評」として成立しました。701年大宝律令制定に伴い、制が施行され、「出雲」へと改称されました。この名称は、『出雲国風土記』において、出雲国と同様の由来を持つとされています。また、の中心地である家は、出雲に置かれていました。

出雲国風土記』には、天平5年(733年)時点で、8つのと23の里(神戸を除く)が存在したと記録されています。これらのや里の名称は、天平11年(739年)の「出雲国大税賑給歴名帳」などの史料によって、一部が判明しています。

以下に、各の概要を示します。

健部:宇夜里から改名。波如里など3つの里がありました。現在の出雲市斐川町学頭、神庭、三絡、松江市宍道町伊志見あたりです。
漆治:志司治から改名。深江里、工田里、犬上里の3つの里がありました。現在の出雲市斐川町上直江、直江あたりです。
河内:伊美里、大麻里など3つの里がありました。現在の出雲市斐川町出西、斐川町阿宮、出雲市船津町、上島町、雲南市加茂町大竹あたりです。
出雲:3つの里がありましたが、里の名前は不明です。現在の出雲市斐川町出西、神氷、求院、富村あたりです。
杵築:評里制の時は支豆支里でした。その後、寸付から改名。因佐里など3つの里がありました。現在の出雲市大社町あたりです。
伊努:伊農から改名。3つの里がありましたが、里の名前は不明です。現在の出雲市東林木町、西林木町、日下町、矢尾町あたりです。
美談:三太三から改名。3つの里がありましたが、里の名前は不明です。現在の出雲市国富町、美談町、出雲市斐川町原鹿と今在家の一部あたりです。
宇賀:2つの里がありましたが、里の名前は不明です。現在の出雲市国富町の北側、口宇賀町、奥宇賀町、河下町、猪目町、別所町、唐川町あたりです。
神戸:2つの里がありましたが、里の名前は不明です。現在の出雲市斐川町今在家、鳥井、名島あたりです。

中世以降の変遷



中世に入ると、出雲の領域は再編されます。杵築、伊努、河内神門[[郡]]に、宇賀と美談は楯縫に組み込まれたと考えられています。残りの地域は、鎌倉時代から戦国時代にかけて出東(しゅっとうぐん)へと変化し、近世初期には再び出雲(読みは「しゅっとう」のまま)となりました。

近世以降の沿革



明治初頭、出雲は全域が出雲松江藩の領地でした。「旧高旧領取調帳データベース」によると、当時の内には1町32村が存在しました。主な村には、南村、福富村、沖須村、中須村、黒目村、氷室村、中原村、神守村、坂田村、三分市村、今在家村、上直江村、下直江村、直江町、下庄原村、上庄原村、吉成村、武部村、宇屋神庭村、羽根村、学頭村、上鹿塚村、鳥屋村、井上村、上阿宮村、下阿宮村、出西村、求院村、神立村、富村、千家村、北島村、別名村などがありました。

1871年明治4年)の廃藩置県により松江県の管轄となり、その後、島根県の管轄となりました。1872年明治5年)には直江町が下直江村に合併されました。1875年明治8年)には、村の合併が進み、氷室村と神守村が神氷村に、中原村と上鹿塚村が原鹿村に、吉成村、武部村、羽根村が三纏村に、鳥屋村と井上村が鳥井村に、上阿宮村と下阿宮村が阿宮村に、神立村と千家村が併川村に、北島村と別名村が名島村となりました。

1879年明治12年)1月12日区町村編制法により、行政区画としての出雲(いずもぐん)が発足し、「楯縫出雲役所」が設置され、楯縫と共に管轄されました。1884年明治17年)には、下直江村の一部が分立して再び直江町となりました。

1889年明治22年)4月1日町村制が施行され、内の村は荘原村、出西村、伊波野村、直江村、久木村、出東村の6つの村に統合されました。これらの村は現在、全て出雲市の一部となっています。

1896年明治29年)4月1日制の施行により、出雲、楯縫神門[[郡]]の区域をもって簸川[[郡]]が発足し、出雲は廃止されました。

式内社



延喜式』神名帳には、内の式内社が記録されています。

参考文献



沖森卓也、佐藤信、矢嶋泉 編著『出雲国風土記』 2005年 山川出版社 ISBN 978-4-634-59390-9
島根県地域振興部市町村課編『島根県の地名鑑』第8次改訂版 2007年 ハーベスト出版
関和彦『『出雲国風土記』註論』 2006年 明石書店 ISBN 4-7503-2376-4
角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 32 島根県角川書店、1979年7月1日。ISBN 4040013204。
旧高旧領取調帳データベース
島根県内市町村その他情報

関連項目



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