出雲神西駅

出雲神西駅の概要

出雲神西駅は、島根県出雲市東神西町にある、西日本旅客鉄道（JR西日本）が管轄する山陰本線の駅です。島根県内のJR駅の中では、後年開業した比較的新しい駅として知られています。

開業とその背景

この駅は、当初「神西駅」（じんざいえき）として1982年（昭和57年）7月1日に開設されました。開業の背景には、山陰本線の伯耆大山駅から知井宮駅（現在の西出雲駅）間で行われた電化工事が関係しています。電化に伴い必要となった車両基地の建設にあたり、用地提供が行われたことに対する見返りとして、この駅が開設されたという経緯を持ちます。開業当初は旅客営業のみを取り扱っていました。

異例の駅名変更と混乱

JR西日本への移行を経て、当駅は1993年（平成5年）3月18日に「出雲大社口駅」（いずもたいしゃぐちえき）へと名称を変更しました。この改称は、当時大社線が廃止となり出雲大社への鉄道アクセスがなくなったことを受け、地域経済や観光への影響を懸念した出雲市などが、観光振興を図る目的で要望したものです。改称にかかった費用約1,500万円は、当時の出雲市が負担しました。

「出雲大社口」という駅名から、当駅が出雲大社への最寄り駅であるかのような印象を与えましたが、実際には大社まで約9キロメートル離れており、直接のアクセスは容易ではありませんでした。市とJR西日本は、当駅から出雲大社へ向かうバス路線やタクシーの確保を検討し、バス路線の開設に関する覚書まで交わしていましたが、当駅の利用者が想定よりも少なかったため、路線バスの新設には年間数千万円、タクシーの常駐にも年間数百万円もの費用負担が見込まれることが判明し、これらの計画は断念されました。

結果として、出雲大社へ当駅からタクシーを利用した場合、料金は2,600円程度となり、出雲市駅から一畑電車を利用するよりも2,000円近く高額になるなど、利用者の利便性は低いままでした。この状況に対し、東京から観光に訪れた旅行者などから苦情が寄せられるようになりました。1997年（平成9年）には、行政機関からJR西日本に対し、駅名の再変更、代替交通手段の確保、あるいは列車内での適切な案内徹底などを求める申し入れが行われました。法的な拘束力はなかったものの、JR西日本はこの申し入れを受け、列車の車内放送で出雲大社への最寄り駅は出雲市駅である旨を案内するようになりました。しかし、その後も混乱や苦情は続き、時には地元住民が自家用車で観光客を送迎するといったケースも見られました。

再びの改称へ

度重なる混乱や、当時の市長の転出など様々な事情が重なり、当駅は1999年（平成11年）3月13日に現在の「出雲神西駅」へと再び改称されました。この再改称にあたっては、駅名に「出雲」が冠されることになりましたが、これは駅が所在する「出雲市」や、この地域がかつて属した「出雲国」に由来するものです。この時の改称にかかった費用は約2,580万円で、そのうち約1,200万円を出雲市が負担しました。

列車の停車状況については、2006年からは快速「アクアライナー」の停車駅となりましたが、2021年には再び快速列車の停車から外れ、現在は普通列車のみの停車となっています。

駅の構造と利用状況

出雲神西駅は、益田方面に向かって右側に単式ホームが一つ設けられた地上駅（停留所）です。駅舎はありますが、内部は待合室と公衆トイレの機能しか持たず、乗車駅証明書発行機や自動券売機などの設備はありません。松江駅によって管理されている無人駅です。

近年の利用状況を見ると、2022年度の1日平均乗車人員は44人でした。過去を遡ると、1984年度は18人、1994年度は28人、2004年度は42人と推移しており、利用者数は緩やかな増加傾向にあることが分かります。

駅周辺

駅周辺には、出雲市立神西小学校や出雲市立河南中学校などの教育機関が見られます。また、JR西日本後藤総合車両所の出雲支所があり、その正門へは隣の西出雲駅よりも当駅の方が近い位置にあります。自然環境としては、神西湖が近くにあります。主要道路では国道9号、国道431号、島根県道277号、島根県道337号などが通っています。ちなみに、神西郵便局は当駅ではなく、隣の江南駅付近に位置しています。

山陰本線における隣の駅は、西出雲駅と江南駅です。

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