分割政府

分割政府とは

分割政府とは、大統領制の国家において、行政府（大統領）と立法府（議会）の多数派を占める政党が異なる状態を指します。また、半大統領制においては、大統領と首相の所属政党が異なる状態を指し、フランスではコアビタシオン（同棲）と呼ばれます。

大統領制における分割政府

大統領制は、厳格な権力分立を特徴としており、行政・立法・司法の三権が相互に牽制し合うことで、権力の集中を防ぐ仕組みとなっています。分割政府は、この権力分立の延長線上にあると考えられます。

分割政府のメリット・デメリット

分割政府は、様々な視点から評価されています。

メリット

権力の抑制: 異なる政党が互いを監視し合うことで、一方的な政策の推進や権力の乱用を防ぐ効果が期待できます。
財政規律の強化: 支出の拡大や不必要な法案の成立を抑制し、財政の健全化に貢献する可能性があります。

デメリット

政策の停滞: 異なる政党間の対立により、政策決定が遅れたり、行き詰まったりする可能性があります。
政治の混乱: 大統領と議会の対立が深刻化すると、政治的な混乱を招く恐れがあります。

アメリカ合衆国における分割政府

20世紀初頭のアメリカでは、分割政府は稀な現象でしたが、1970年代以降、次第に増加傾向にあります。近年では、政党間の対立が激化し、分割政府下での政策運営がより困難になっています。

半大統領制における分割政府（コアビタシオン）

フランスのような半大統領制では、大統領と首相が異なる政党に所属するコアビタシオンと呼ばれる状態が発生します。この場合、外交や国防などの大統領権限と、内政に関する首相の権限が分かれることになります。

コアビタシオンは、大統領と首相の協力関係が不可欠であり、政局が不安定になる要因ともなり得ます。

分割政府に関連する用語

Skirt and Blouse voting: 選挙において、大統領と議会の候補者を異なる政党から選ぶ投票行動。
ねじれ国会: 日本において、参議院と衆議院で多数派が異なる状態。
少数与党政権: 与党が議会の過半数を占めていない政権。
政府閉鎖: 予算が成立せず、政府機関が一部閉鎖される状態。

分割政府は、政治システムにおける権力分立の一形態であり、その評価は様々な視点からなされます。政策の停滞や政治の混乱を招く可能性がある一方で、権力の抑制や財政規律の強化に貢献する可能性も秘めています。

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