分部嘉高

分部嘉高

分部嘉高（わけべ よしたか）は、江戸時代前期の大名であり、近江国大溝藩の3代藩主として知られています。官位は従五位下・若狭守でした。

生涯

慶安元年（1648年）9月19日、2代藩主・分部嘉治の長男として誕生しました。母は備中松山藩主・池田長常の娘です。

明暦4年（1658年）7月9日、父・嘉治が妻の叔父にあたる池田長重と対談中に刃傷沙汰が起こり、長重はその場で斬殺され、嘉治も傷がもとで翌日死亡するという事件が発生しました。これにより、11歳という若さで嘉高が家督を継ぐことになりました。同年閏12月2日に遺領相続が認められ、同10日に徳川家綱に御目見しました。この際、父が遺した青江の刀を家綱に献上しています。万治3年（1660年）12月28日には、従五位下若狭守に叙任されました。

寛文2年（1662年）5月1日、寛文近江・若狭地震が発生し、琵琶湖西岸から若狭地方にかけて甚大な被害をもたらしました。大溝での震度は6以上と推定され、大溝領内では家屋敷の倒壊が1022軒、死者が30名以上という被害が報告されています。大溝藩は、領内の被害が甚大であることを理由に、前年秋に命じられていた仙洞御所の作事手伝いを5月11日に免除されました。地震発生時点で仙洞御所の工事は未実施であり、大溝藩は作事手伝いのために準備した資金や人員を城下および領内の復興に充てることができたと考えられています。

寛文3年（1663年）8月には、越前の真宗高田派の真教・専誉父子が預けられました。寛文5年（1665年）には、初めて領国に入りました。

寛文6年（1666年）、藩領内で大洪水が発生し、凶作に見舞われました。嘉高は所持していた郷義弘の名刀を4代将軍・徳川家綱に献上し、その見返りとして得た黄金400枚を領内の復興と窮民救済に当てました。この寛文6年には、「大溝酒造仲間」16株が成立しています。

寛文7年（1667年）6月12日、嘉高は20歳という若さで死去しました。嘉高には嗣子がなく、末期養子として母のいとこにあたる分部信政（旗本池田長信の三男）が迎えられました。

系譜

父：分部嘉治
母：池田長常の娘
正室：有馬康純の娘
養子：分部信政 - 池田長信の三男

参考文献

『寛政重修諸家譜』巻第三百九十二「分部」
『寛政重修諸家譜 第三輯』（国民図書、1923年） NDLJP:1082714/12
中央防災会議 災害教訓の継承に関する専門調査会, 『災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 1662 寛文近江・若狭地震』, 2005年

外部リンク

分部嘉高 - Kotobank

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