真宗高田派

真宗高田派：親鸞の教えを継承する歴史ある宗派

真宗高田派は、三重県津市一身田町にある専修寺を本山とする浄土真宗の一派です。約640もの末寺を擁し、親鸞聖人の弟子である真仏、顕智らによる高田門徒の流れを汲む由緒ある宗派として知られています。本稿では、高田派の歴史、特徴、主な寺院、歴代法主、そして特筆すべき事項について詳しく解説します。

歴史：高田専修寺の創建から現代まで

草創期：親鸞聖人の布教活動と専修寺の設立

高田派の歴史は、親鸞聖人の布教活動に深く関わっています。承元法難（1205年）後、赦免された親鸞は各地を遊行し、布教活動を行いました。1224年、『教行信証』の草稿が完成した翌1225年、親鸞は夢告により高田（現在の栃木県真岡市）に専修寺を建立することを決定します。これは、真岡城主大内氏の協力を得て実現しました。翌年には朝廷から「専修阿弥陀寺」の寺号と勅願寺の指定を受け、専修寺と改称されました。親鸞はその後、京都に戻りますが、高田門徒は真仏、顕智らにより継承されていきます。

高田派の隆盛と三門徒との関係

顕智は三河国での布教を行い、円善を弟子に迎えました。円善が率いた和田門徒は、後に真宗三門徒派、真宗誠照寺派、真宗山元派といった宗派へと発展していきます。1464年、高田派第10世真慧は中興の祖として、布教活動に尽力し、関東、東海、北陸地方へと勢力を拡大。一時、浄土真宗内でも佛光寺派に次ぐ規模を誇るまでに至りました。しかし、本願寺派8世蓮如の布教活動の影響を受け、門徒や末寺の離反が起き始めます。

戦国時代の動乱と本願寺派との対立

戦国時代、蓮如との対立や延暦寺との紛争、本願寺派との勢力争いなど、激動の時代を経験します。特に加賀国での富樫氏の内紛では、高田派は本願寺派と対立し、勢力を弱体化させました。しかし、皇室からの庇護を受け、真慧は上人号を授かり、高田派は存続を続けました。永正年間（1504～1521年）には、真慧の跡目相続を巡る争いが発生しますが、最終的には応真が11世法主となります。その後も、本願寺派との対立や、内部での相続争いは断続的に続き、高田派は試練の時代を過ごしました。

江戸時代以降：本山と本寺の確立、そして現代へ

江戸時代に入ると、高田派は本願寺派と並ぶ浄土真宗の大宗派として地位を確立。伊勢国一身田の専修寺を本山、下野国高田の専修寺を本寺として、伽藍の復興に力を注ぎました。しかし、越前での本寺争いは幕末まで続き、幕府への訴訟や、火災による伽藍の焼失など、数々の困難を乗り越えてきました。現在も、伝統を守りながら現代社会に合わせた布教活動を行っています。

高田派の特徴

高田派には他の真宗各派にはない独特の特徴があります。それは、毎日の勤行において『正信偈』とともに『文類偈』を読経することです。また、第14世堯秀が編纂した『御書』の拝読も特徴の一つです。さらに、他の真宗各派で聖典として用いられる『歎異抄』を、専修寺では用いていません。これは、専修寺が多くの親鸞聖人の真筆を所蔵しているため、とされています。

主な寺院

本寺: 専修寺（栃木県真岡市）
本山: 専修寺（三重県津市一身田町）
* 別院: 京都別院、名古屋別院、神戸別院、北海道別院、福井別院、関東別院、関東別院千葉分院、関東別院つくば分院、横浜別院乗願寺など

歴代法主

第21代堯熙以降は、常磐井を家名としています。詳細な歴代法主の系譜については、高田派の公式ウェブサイトなどを参照ください。

まとめ

真宗高田派は、親鸞聖人の教えを忠実に守り、約800年の歴史の中で数々の困難を乗り越えてきた宗派です。『教行信証』を重視し、『文類偈』の読経や『御書』の拝読といった独自の特徴を持つ高田派は、今後もその伝統と精神を受け継ぎながら、現代社会に貢献していくでしょう。

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