初学記

初学記（しょがくき）

『初学記』は、中国・唐代に作られた重要な類書の一つで、開元16年（728年）に徐堅らによって編纂されました。この書は、皇帝玄宗の指示により、皇子たちが作文を行う際に必要な情報を整理する目的で制作されました。全30巻から成るこの文献は、特に資料の引用の仕方において優れており、その一部は現在では失われた文献からも取り上げられているため、貴重な史料としての価値を持っています。

概要と体裁

『初学記』は、情報を23の部門に分け、さらに313の細目を設けることで、使う人々が目的の情報を見つけやすいよう工夫されています。この構成は、別の有名な類書『芸文類聚』に倣ったもので、こちらの書籍は内容がより広範囲にわたるものの、精緻な仕上がりとして『初学記』が評価されています。『四庫全書総目提要』の記述によると、「唐人の類書中では、広範囲にわたる『芸文類聚』に劣るが、内容の精緻さではこの書が勝る」とされています。

撰者・徐堅

書を編纂した徐堅は、名門に生まれ、文才に秀でていました。彼は進士として試験に合格後、さまざまな公文書の作成や格式の編集に関わり、最終的には集賢院の学士に任命されるに至ります。また、彼は『三教珠英』の編纂にも携わっており、文学界において名を馳せていました。徐堅は開元17年（729年）に亡くなり、70歳を超えていたと言われています。

版本

『初学記』の版本には、いくつかの重要なものがあります。明代の嘉靖10年（1531年）には安国重校刊本が出版され、また、古香斎袖珍本と呼ばれる版本も存在しています。さらに、清の陸心源によって撰された『初学記校』の8巻版もあり、これらの版本はその後の研究にとって重要な資料となっています。

参考文献

本書に関する研究は多く、白木直也による「初学記所引書目稿」（『広島大学文学部紀要』6、1954年）や、加藤聰による「類書『初學記』の編纂：その太宗御製偏重をてがかりとして」（『東方学』111、2006年）などが挙げられます。これらの文献は、『初学記』の編纂過程や本書の意義についての洞察を深める助けとなります。

このように『初学記』は、唐代の文学的、歴史的な背景を理解するための一助となる貴重な資料であり、後世にわたりその価値は失われることなく受け継がれています。

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