初島型電纜敷設艇

初島型電纜敷設艇について

初島型電纜敷設艇（はしまかたでんらんふせつてい）は、昭和の日本海軍において運用された特務艇の一種で、日本海軍における初の電纜敷設艇です。この艦艇型は、合計で4隻から構成されており、各艇は特定の任務に特化して設計されています。これらの艦艇は、主に有線爆破式の機雷や水中聴音機といった特殊装備の敷設を行うために配置されました。

概要と背景

日本海軍では、九二式機雷と呼ばれる有線爆破型機雷を保有していましたが、これを効率的に展開するための専門的な艦船が不足していました。そのため、1940年代初頭に、艦艇の建造を進めることが決定され、1939年の臨時軍事費をもとに4隻の電纜敷設艇が計画されました。1隻当たりの予算は約1,760,000円であり、主に防衛用として艦艇が建造されました。

1940年から1941年にかけて、初島型の各艇が次々と完成し、最初の艦艇である「初島」は1940年10月25日に竣工しました。各艦艇は日本内の主要な防備队に配属され、電纜の敷設や近海警備に従事しました。敵である連合国への対策として、船団護衛任務にも参加し、特に「初島」はラバウル方面まで展開しています。

艦艇の構造と設備

初島型電纜敷設艇は、主に商船形式に基づく設計がなされており、鋼材には軟鋼が使用されています。また、石炭を燃料とするボイラーとレシプロエンジンが搭載され、最大速力は14ノットに設定されています。

艦艇には、艦橋と煙突の間に電纜庫が設けられ、最大20,000メートルの電線を収納することができる設計となっています。また、海底沈置式水中聴音機を搭載するためのスペースも確保され、この機器は潜水艦の探知に役立つ重要な設備です。さらに、艦尾には機雷を投下するための投下軌条も設けられています。

防衛のための武装として、後甲板には8cmの高角砲が1基、さらには13mm連装機銃が搭載され、戦闘能力も有しています。開戦後は、九三式探信儀も取り付けられ、艦艇の対潜能力を強化しました。

同型艦の運用と運命

初島型には「初島」、「釣島」、「大立」、「立石」の4隻が存在しました。在籍した部隊に応じてそれぞれの艦艇が特定の任務に取り組み、戦局の影響を受けました。「初島」は1945年4月、米潜水艦の攻撃を受け沈没。その後、「釣島」は戦後、逓信省に移管され「釣島丸」として海底電線の保守に使用され続けました。

今後の海上自衛隊においては、昭和28年度に敷設艦「つがる」がこの型をベースに改良されて運用されています。セイバーボートのような運送手段の発展も影響し、艦艇の役割は時代とともに進化しています。

参考文献

• - 海軍歴史保存会『日本海軍史』
• - わが国での海軍造船技術に関する文献
• - 日本海軍関連の資料

初島型電纜敷設艇はその歴史的な重要性もさることながら、日本海軍の電纜敷設能力を象徴する艦艇として記憶されています。

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