判事 (律令制)

判事について

判事（はんじ）は、日本の律令制度において、刑部省に所属する職員の一つであり、裁判の審理や判定を行う重要な役割を持っていました。これらの判事は、四等官の外部に位置し、品官という地位に分類されます。また、大宰府にも判事が配置されており、地方における司法権の行使にも寄与していました。

判事の職務

判事は、主に被疑者の尋問を担当する解部が提出する鞫状（調書）をもとに、刑部卿と共に裁判の審理に当たります。判事は、適用する律令の条文を確定し、最終的な判決案を作成します。彼らは重要な法律の専門家であり、その判断は司法の根幹をなすものでした。

判事の種類と定員

判事には、大判事、中判事、少判事の3種類があり、それぞれに定員が定められていました。大判事は定員が2名で、正五位下に相当する地位にありました。中判事は4名で正六位下、少判事も4名で従六位下という位階が与えられていました。また、大宰府でも大判事および少判事が1名ずつ設置されており、それぞれ従六位下、正七位上に相当する役職でした。

判事職の任命

判事の職には主に明法家が任命されていましたが、一部は文章得業生など、律令制度や法律に関する知識を持つ者たちも任用されることがありました。このように、判事の職務は知識と経験をもとに判断される歴史的な側面があります。

歴史的背景

判事の制度自体は、大宝令以前から存在していたことが『日本書紀』の記録からうかがえます。たとえば、斉明天皇4年11月の記録には、刑部省に関連する官が存在していたことも示されています。また、大化改新の過程で新たに設けられた官職の一つとして判事が設置されたと考えられています。

持統天皇3年（689年）には、竹田王や藤原不比等などが判事に任命されたことも記録されています。このように、判事は当時の有力者や権力者たちが任命されることが多かったため、政治的な影響力を持つ職業でもありました。

平安時代以降の変化

平安時代中期に入ると、判事の職は中原氏や坂上氏などの貴族によって世襲されるようになりました。また、寛平8年（896年）になると、律令制度に基づく判事の定員が削減されるなど、時代の変化に伴う動きが見られます。これにより、判事の制度における重要性や役割も変化していったことでしょう。

結論

判事は、日本の司法制度の古代において非常に重要な役割を果たしていました。彼らは法律の適用を通じて社会の秩序を保つために尽力し、その存在は歴史的にも意味深いものです。時代と共に制度や運用に変化があったものの、判事の役割は日本の司法史において重要な位置を占め続けています。

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