判官森

判官森は、宮城県栗原市栗駒沼倉に位置する山であり、源義経にまつわる伝説が残る場所です。この山は、平泉で自害した源義経の胴体が葬られた地であると伝えられており、その頂上には義経の胴塚とされる五輪塔と石碑が建立されています。

石碑の中央には「上拝源九郎官者義経公」と刻まれ、左には「文治五年閏四月二八日」、右には「大願成就」と記されています。文治五年（1189年）は、義経が亡くなったとされる年であり、この石碑は義経の霊を弔うために建てられたと考えられます。

判官森をさらに奥へと進むと、岩場が特徴的な弁慶森があります。弁慶は義経の忠臣として知られており、この地名もまた、義経一行にまつわる伝説を今に伝えています。

山の麓、かつて栗駒小学校があった場所には、筆塚と義経鞭桜があります。義経鞭桜は、義経が地面に桜の枝を挿したところ、それが根付いて成長したという伝説を持つ桜です。この桜は、義経の生命力と土地への愛着を象徴するものとして、地元の人々に大切にされています。

地元の伝承によれば、沼倉村を領していた沼倉小次郎高次が、衣川館で自刃した義経の首が鎌倉へ送られた後、残された胴体をこの地に葬ったとされています。また、高次の弟である杉目小太郎行信が義経の身代わりとなり、義経を奥州から北へと逃がしたという伝説も存在します。これらの伝承は、義経北行伝説の根拠の一つとして語り継がれています。

判官森へのアクセスは、JA栗っこ栗駒支店の裏手から伸びる農道を利用します。公共交通機関を利用する場合は、くりこま高原駅（JR東日本）から車で約40分の距離です。また、平泉町からは車で約1時間でアクセスできます。

判官森は、源義経の悲劇的な生涯と、それを取り巻く人々の思いが込められた場所です。歴史好きや伝説に興味のある方にとって、訪れる価値のあるスポットと言えるでしょう。

参考文献：上横手雅敬編著　『源義経 流浪の勇者』　文英堂、2004年。

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