利光宗魚

利光宗魚（としみつ そうぎょ）

利光宗魚は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将で、大友氏の家臣として活躍しました。大友氏の庶流である戸次氏の支流、利光氏の一族に生まれ、法名を宗魚、実名を鑑教（あきのり）と称しました。また、宗匡という別名も持っています。豊後国（現在の大分県）の鶴賀城主として、その名を歴史に刻みました。

略歴

宗魚は、主に大友義鑑の子である義鎮（後の宗麟）とその子・義統の二代にわたり仕えた重臣です。天正9年（1581年）には、義統の命令で日向（現在の宮崎県）の宮崎に出陣し、島津忠長や新納忠元と対峙していた志賀道易を救援しました。この戦いで、宗魚は武将としての頭角を現し始めました。

天正13年（1585年）、宗麟の勧めによりキリシタンの洗礼を受け、キリスト教徒となりました。これは当時の武将としては珍しいことであり、宗魚の国際的な視野の広さを示す出来事と言えるでしょう。

天正14年（1586年）には、宗魚は3千9百余騎を率いて肥前、筑前（現在の佐賀県、福岡県の一部）に出陣していましたが、その留守中に島津軍が豊後へ侵攻（豊薩合戦）を開始しました。この報を受けた宗魚は、急ぎ帰国し、居城である鶴賀城に籠城することになります。11月、島津家久率いる2万の大軍が鶴賀城に迫りました。宗魚が不在の間、城を守っていた子の統久らは、戦力差を考慮し、家臣の牧宗之助を人質に出して一時的に島津軍と講和しました。

しかし、帰還した宗魚は、島津家久からの降伏勧告を拒否し、城兵700余名と非戦闘員3千人ほどと共に籠城を決意します。そして、夜討ちを仕掛け、島津軍に大きな損害を与えました。この夜討ちは、宗魚の武将としての勇猛さと知略をよく表すものでした。

12月3日には、利光一門の利光伊予守が、佐藤美作守と共に300余名を率いて出陣し、大筒井川で島津軍500余名と激戦を繰り広げました。切岩の坂では、鉄砲や大石を効果的に使用し、地の利を生かした巧みな戦術で島津軍に大損害を与え、利光軍は32名が戦死、島津軍は53名が戦死しました。

その後、12月6日から島津軍による本格的な城攻めが始まり、利光氏家臣の浅見景治と徳丸長継らが戦死しました。三の丸、二の丸が陥落するも、本丸は持ちこたえ、島津軍はそれ以上の攻撃を断念し、家久は梨尾山に退きました。翌7日、宗魚は物見櫓でその撤退を視察中に流れ弾に当たり、無念の戦死を遂げました。宗魚の死は城兵には伏せられ、その後も5日ほど持ちこたえましたが、最終的に戸次川の戦いで大友軍が敗北したため、降伏することになりました。

一連の戦いにおいて、利光軍は約1千人、島津軍は約3千人が戦死したとされます。主君である宗麟は、利光氏の忠義を賞し、城兵を臼杵に収容しました。

人物

宗魚は、立花道雪の妹を娶りました。大友氏への忠義を貫き、忠節を尽くした清廉な勇将として伝えられています。その武勇と忠義は、多くの人々に感銘を与えました。

家臣団

宗魚を支えた家臣団には、以下の人物がいました。

成大寺家永（豪永とも。宗魚の弟、筆頭家老）
利光重助（宗魚の弟。軍監）
利光伊予守（一門衆）
浅見景治（太郎。軍監）
高橋左近（客将。軍監）
村上三郎右衛門（与力衆）
佐藤美作守
加藤兵庫
池永宮内
稗田三郎右衛門
猪野道察
清田助右衛門
板井三郎右衛門
古家右馬之丞
得丸長継（弾正）
得丸傳八
但馬兵庫
葛城兵馬
戸次統早
麻生直右衛門
寒田統員
生野帯刀
中島玄佐
古屋鎮勝
牧宇之助（与力衆）
原源之進

これらの家臣たちは、宗魚の武勇と人徳に惹かれ、彼の指揮下で忠実に戦いました。

脚注

この解説は、『鶴賀城戦史』を主な参考資料として作成されました。

利光宗魚は、戦国時代の激動期を生き抜いた武将の一人であり、その勇猛さと忠義は、後世に語り継がれています。

もう一度検索