利根川橋梁 (東北本線)

利根川橋梁（とねがわきょうりょう）

利根川橋梁は、埼玉県加須市旗井と茨城県古河市中田を結んで利根川を跨ぐ、全長753メートルの複線鉄道橋です。この橋は、東日本旅客鉄道（JR東日本）の東北本線（宇都宮線）栗橋駅から古河駅間に位置し、利根川に最初に架けられた橋梁として知られています。

建設の背景

利根川橋梁の建設は、日本鉄道が東京と京都を結ぶ中山道幹線などを整備するために発足した際に始まりました。日本鉄道の第一区線（上野駅から前橋駅まで）は1884年に開通し、その後、宇都宮を経由する第二区線の計画が持ち上がりました。この計画を進める中で、両毛機業地帯からの支持を受け、利根川を越える必要性が強く認識されていました。

鉄道局長の井上勝は、利根川を架ける甲線の建設計画を推進しました。省資源かつ迅速な工事を実施するため、利根川の舟運を活用し、利根川橋梁を架設することが決定されました。

初代橋梁

利根川橋梁の建設作業は、1885年に始まり、わずか半年後には1886年6月に開通しました。この時、橋梁は461.5メートルの長さを持ち、日本で最も長い鉄道橋でした。橋の設計を担当したのは、お雇い外国人のチャールズ・ポーナルであり、彼が設計したトラス桁は、日本で初めての200フィートトラス桁でした。

1886年に開通から1か月後、明治天皇の来訪があり、天皇はこの橋を歩いて渡るとともに、周囲の景色を楽しんだとされています。

改修工事と複線化

1910年、大洪水の影響で河川の改修が求められるなか、利根川橋梁も1919年に大規模な改修工事を受けました。この改修工事により、橋の構造は耐荷重性を高めるために交換され、結果として複線化も実現しました。1922年には新たに上り線用の橋梁が増設され、全体の長さを636メートルに延長しました。

その後、1947年のカスリーン台風による洪水や1958年の電化に際しても、数度にわたり改修工事が実施され、橋の構造強化や運用効率が向上しました。特に、1962年には老朽化した上り線の桁が交換され、現代的な橋梁として生まれ変わりました。

2代橋梁

1970年代には、利根川橋梁の安全性に関する懸念が高まり、全面的な改築が決定されました。新しい橋は、既存の橋梁から約20メートル上流に架設され、川の流れに対して直角に交差する形となりました。設計は、径間を80メートル以上、桁下空頭を2メートル以上とする要求に基づき、最小限の厚さの特殊設計が施されました。1977年に完成し、旧橋梁は廃止されました。

さらに、2007年には、強風対策として防風柵が設置され、事故防止に寄与しています。利根川橋梁は、日本の鉄道史において重要な役割を果たしながら、今もなお現役で運行に寄与し続けています。

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