削減経

削減経（Sallekha Sutta）

削減経は、パーリ仏典の中部経蔵に収められている第8経であり、仏教の重要な教えの一つです。この経典は、釈迦が弟子のチュンダに対して特定の戒めを述べ、世間の誤った見解に対する正しい道筋を教える内容となっています。

背景と文脈

この経典が記されている背景には、舎衛城の祇園精舎に滞在中の釈迦とその弟子たちの対話があります。チュンダは、現世に広まっているさまざまな見解について釈迦に質問します。釈迦はそれに対し、世間で目にする44項目の誤った見解を挙げ、それらを正す教えを示します。これにより、あらゆる人々が自らを改善し、正しい道を歩むための助けとなるのです。

44項目の戒め

経典において、釈迦は削減すべき44項目を具体的に述べ、それぞれに対してどのような態度を持つべきかを教えます。これらの項目は、悪行からの回避を促し、反対に良い行いを奨励する内容です。ここでは、いくつかの重要な戒めを紹介します。

1. 他人を害することを避け、加害者にならないこと。
2. 殺生から遠ざかり、命を大切にすること。
3. 与えられていない物を取らず、他人のものを尊重すること。
4. 禁欲的な生活を送り、道徳的な価値観を守ること。
5. 他者に対して嘘をつかない、正直であること。
6. 悪口や陰口を言わず、言葉を慎むこと。
7. 貪欲や嫉妬を捨て、いつも心を清らかに保つこと。
8. 邪見や邪思惟を手放し、真の理解を求めること。
9. 悪友から離れ、善友とつながること。
10. 常に勉強を心がけ、知識を深めること。

これらの戒めは、我々が正しい行動を選ぶための道しるべとして機能し、誤った行為から離れて正しい道を踏み出す助けになります。釈迦はこの44項目を繰り返し挙げることによって、戒めの重要性を強調し、これに従って生きることの重要性を教えています。

教えの意義

削減経で述べられている教えは、ただの戒律の羅列ではなく、個々の心のあり方を鋭く問いかける内容です。釈迦はチュンダに対し、これらの戒めがどのように我々の行動に影響を与えるかを考えさせることで、内面的な変化を促します。悪行を回避することで、正しい道に導かれ、最終的には安らぎへと至ることができるという教えを伝えています。

参考文献

この経典は、多くの仏教関連の文献にも引用されており、広く研究されています。具体的には『南伝大蔵経・経蔵・中部経典1』（大蔵出版）や、『パーリ仏典 中部（マッジマニカーヤ）根本五十経篇I』（片山一良訳 大蔵出版）などがあります。

まとめ

削減経は、仏教徒にとって非常に重要な教えであり、釈迦によって示された具体的かつ実践的な戒めの数々は、日常の行動に役立つだけでなく、心の平和を得るための道しるべともなります。これらの教えを心に留め、日々の生活に活かすことが求められるのです。

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