前日発売

公営競技における前日発売：馬券購入の新たな選択肢

公営競技において、レース開催日の前日に投票券を購入できるシステムを「前日発売」といいます。これは、多くのファンにとって便利なシステムであり、レースへの関心を高める効果も期待できます。本稿では、中央競馬、地方競馬、そして競輪・ボートレース・オートレースといった公営競技における前日発売について、その歴史や現状、特徴を詳しく解説します。

中央競馬における前日発売

日本中央競馬会（JRA）では、主要GIレースを中心に前日発売が実施されてきました。当初は一部のレースに限られていましたが、徐々に対象レースの拡大が進み、皐月賞、東京優駿（日本ダービー）、菊花賞、天皇賞（春・秋）、有馬記念といった重要なレースは、前々日（金曜日）から一部のウインズで発売されるようになりました。これは、競馬ファンの利便性向上と、週末の競馬への注目度を高めるための取り組みと言えます。

当初は、発売時間や実施場所、対象レースに制限がありましたが、近年は、JRA直営の競馬場やウインズにおいて、クイックピック（コンピュータによるランダムな馬券購入）の前日・金曜日発売も開始されています。また、インターネット投票の普及に伴い、夜間発売も導入され、時間的制約も減少傾向にあります。かつては、積雪などの影響を考慮して1～3月は前日発売を縮小していましたが、現在では通年実施されています。ただし、ウインズにおける金曜日前々日発売は、2021年12月をもってインターネット投票の夜間発売に一本化されました。

地方競馬における前日発売

地方競馬でも、重賞レースを中心に前日発売が実施されていますが、その実施状況は競馬場によって異なります。盛岡競馬場では開催日の翌日のメインレース全てを、名古屋競馬場では開催日の全競走を前日夜間発売しています。一方、佐賀競馬場や南関東公営競馬では、翌日に重賞レースがある場合に限り、その重賞レースのみ前日発売を実施するなど、地方競馬場ごとの特色が色濃く反映されています。

競輪・ボートレース・オートレースにおける前日発売

競輪、ボートレース、オートレースでは、決勝戦や優勝戦の出場メンバーや枠順がレース直前まで確定しないため、前日発売は少ないのが現状です。ただし、出場メンバーが事前に確定しているレースや、枠順確定後であれば、数時間のみ前日発売を行う場もあります。また、KEIRINグランプリなどのように、事前に出場選手が確定しているレースでは、数日前から前日発売が実施されることもあります。各場におけるトータリゼータシステムの運用システムの違いから、途中オッズについては発売している場所の票のみで計算される場合もある点には注意が必要です。

電話投票と前日発売

電話投票でも、中央競馬、競輪ともに前日発売が可能です。中央競馬のI-PATやPAT方式では、2004年から日曜開催のレースを前日20時から「夜間発売」として馬券を購入できます。競輪でも2008年から電話投票による翌日開催の前日発売が開始され、現在は全レースが対象となっています。

まとめ

前日発売は、公営競技において競馬ファンや顧客の利便性を向上させ、レースへの関心を高めるための重要なシステムです。競技や開催場によって、実施内容や対象レースに違いがある点に注意が必要です。今後も、インターネット投票などの技術革新に伴い、前日発売システムはさらに進化していくことが期待されます。

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