前田紘孝

前田 紘孝（まえだ ひろたか）

日本の映画プロデューサー。元俳優。1980年4月6日に北海道函館市に生まれ、2019年1月に逝去した。エンターテインメント業界で俳優としてキャリアをスタートさせた後、プロデューサーとして活躍し、株式会社SOUL AGEの代表取締役を務めた。

俳優としての歩み

大阪府立市岡高等学校を経て東京都立大学経済学部へ進学した前田は、在学中に芸能事務所のオーディションに挑戦し、応募者約1000人の中から選ばれた合格者2名のうちの1人として芸能界入りを果たした。2001年には、矢口史靖監督の映画『ウォーターボーイズ』に出演。この作品での共演を機に、主演を務めた俳優の妻夫木聡氏とは生涯にわたる深い親交を結んだという。

転身と起業

俳優として活動した後、前田は一度芸能の世界から身を引き、金融機関で経験を積んだ。そこで培った知識や経験を活かし、2010年にエンターテインメント創出を目的とした「株式会社SOUL AGE」を設立し、自ら代表取締役に就任。ここから、映画プロデューサーとしてのキャリアを本格的に歩み始めた。

映画プロデューサーとしての功績

SOUL AGEの代表として、前田は数々の映画製作に携わった。プロデューサーやエグゼクティブ・プロデューサーとして彼の名がクレジットされた作品は以下の通りである。

『海炭市叙景』（2010年）- 製作
『ピュ〜ぴる』（2011年）- プロデューサー
『そこのみにて光輝く』（2014年）- エグゼクティブ・プロデューサー
『神様はバリにいる』（2015年）- プロデューサー
『死んだ目をした少年』（2015年）- エグゼクティブ・プロデューサー
『東京の日』（2015年）- プロデューサー
『つむぐもの』（2016年）- エグゼクティブ・プロデューサー
『STAR SAND-星砂物語-』（2017年）- エグゼクティブ・プロデューサー

中でも2014年にエグゼクティブ・プロデューサーを務めた『そこのみにて光輝く』は、国内外で高い評価を獲得した。この作品は、国内でその年のキネマ旬報ベスト・テン邦画部門の第一位に選ばれたほか、モントリオール世界映画祭では監督の呉美保氏が最優秀監督賞を受賞。また、主要キャストである池脇千鶴氏も第9回アジア・フィルム・アワードで最優秀助演女優賞を受賞するなど、数多くの賞に輝き、前田のプロデューサーとしての手腕を示す代表作となった。

早すぎる死とその後

2019年1月、前田紘孝の突然の訃報が報じられた。報道によると、正月中に家族との連絡が取れなくなり捜索願が出された後、同月6日に事務所のスタッフによって発見されたという。死因は心筋梗塞による突然死と見られている。

彼の死去から間もない2019年2月12日、前田が代表を務めていた株式会社SOUL AGEは東京地方裁判所から破産開始決定を受けた。ただし、この決定時の報道では、前田氏は会社の経営体制変更に伴い、2012年3月末には既に代表取締役を退任していたと伝えられている。

俳優からプロデューサーへと転身し、数々の話題作、特に『そこのみにて光輝く』のような評価の高い作品を生み出してきた前田紘孝は、40歳を迎える前に急逝した。その短い生涯の中で日本の映画界に残した功績は大きい。

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