剣山地

剣山地について

剣山地は、四国山地の東部に位置する山地で、剣山（標高1,955m）を最高峰としています。この山地は、北を御荷鉾構造線、南を那賀川に沿う仏像構造線に挟まれ、東西約60km、南北約15～25kmに及ぶ広大なエリアを形成しています。その大部分は徳島県に属していますが、西部の一部の尾根は高知県との県境となっています。

地形と地質

剣山地は、複数の山系が連なり構成されています。主脈をなすのは、天狗塚から三嶺、剣山、雲早山を経て中津峰山に至る剣山系です。この南側には、次郎笈から分岐して権田山、平家平へと続く那賀山系、さらに高ノ瀬から石立山へ伸びる石立山系が並行しています。また、北側には、塔丸から赤帽子山へと連なる山地があり、剣山系の北には、国見山から寒峰、烏帽子山を経て矢筈山に至る祖谷山系が位置しています。これらの山々は、仏像構造線と平行に、東北東から西南西の方向に連なっています。

地質的には、剣山地は秩父帯に属し、北側斜面は粘板岩層で構成されています。稜線は東側に向かって徐々に高度を下げており、剣山、三嶺、塔丸などには、かつて隆起準平原であったとされる平坦面がしばしば見られます。

気候と植生

剣山地は、中国山地や讃岐山脈よりも標高が高いため、冬季にはシベリア気団の影響を受け、季節風が吹き付けて多くの積雪が見られます。そのため、剣山スキー場など、四国有数のスキー場も存在します。一方、南東側斜面は夏季を中心に雨量が多く、年間降水量は3,000mmを超えることもあります。特に、太平洋側を台風が通過する際には、集中豪雨に見舞われることがあります。

剣山地の山々は、標高約1,700m以上では亜高山帯針葉樹林となり、シコクシラベ、ダケカンバ、コメツツジなどの群落が見られます。これらの植物は、この地域の厳しい気候条件に適応して生育しています。

水源と開発

剣山地は、那賀川、物部川、吉野川の支流である祖谷川、貞光川、穴吹川、鮎喰川など、多くの一級河川の源流となっています。1950年代半ば頃からは、那賀川の洪水防止と電源開発を目的として、多くのダムが建設されました。これらのダムは、地域住民の生活を支える一方で、自然環境への影響も指摘されています。

保護と観光

剣山地および周辺の大歩危・小歩危、祖谷渓、高の瀬峡、一宇峡などは、1964年に剣山国定公園に指定されました。この地域は、豊かな自然と独特の景観が評価され、多くの観光客や登山客が訪れます。

剣山北側の見ノ越を経由する国道438号および国道439号、雲早山から次郎笈南側を通る剣山スーパー林道などの開通により、登山は以前より容易になりましたが、一方で環境破壊も問題視されています。

主な山々

剣山地には、以下のような山々があります。

天狗塚
綱附森
西熊山
三嶺
白髪山
石立山
高ノ瀬
丸石
権田山
次郎笈
平家平
剣山
一ノ森
天神丸
高城山
雲早山
旭ノ丸
高丸山
旭ヶ丸
中津峰山
寒峰
烏帽子山
矢筈山
塔丸
黒笠山
丸笹山
赤帽子山
八面山
綱附山
正善山

これらの山々は、それぞれ異なる特徴を持ち、登山やハイキングを楽しむ人々にとって魅力的な場所となっています。

参考文献

国土地理院地図
各自治体刊行物

関連項目

祖谷山(祖谷山系)
四国山地
四国百名山
石鎚山脈
* 大峰山脈

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